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Wednesday Night
「あっちゃー…ビール切れてんじゃん…」

冷蔵庫を開いて、先生が独り言ちた。
その言葉を聞いて、俺は冷蔵庫をぱたりと閉める。

「今日は飲まない日でいいじゃないか。」

「今日は、っつうけどなぁ、週に一度の楽しみがねぇと、どうもモチベーションが下がるんだよなー…」

先生はぶつぶつ言いながらも諦めたのか、ソファーに座ってテレビを見始めた。

先生が水曜の夜だけビールを飲むことにしているのは知っている。
本人いわく、『週の真ん中でビール飲むと気が楽になって、週の後半も乗り切れる。』らしい。
以前は週末にも飲んでいたが、一度だけ、『酒臭い先生に抱かれたくない。』という理由で俺が先生を拒否したことがあって、それ以来週末にはぱたりと飲まなくなった。

週末に飲む習慣を止めたのに、さらに週に一度の楽しみもなくなってしまうのは、なんだか可哀相な気がする。
俺は上着とマフラーを取りに、自分の荷物が置いてある先生の部屋へと向かった。
そんな俺の様子が気になったのか、先生はテレビを消して声をかけた。

「刹那、どうした?」

「コンビニ、行ってくる。」

防寒対策をして財布を手に玄関に向かえば、後ろからいきなり抱き締められて俺の足は止まった。

「コンビニ行って、何買うつもりだ?」

「何って…ビール…」

先生は一つ溜め息をつくと、俺の首からマフラーをとった。

「未成年には売ってくれないだろう?」

「あ………」

急いでいて基本的なことを忘れていた。
俺じゃビールを買いに行けない。

「それに今日寒いし、外出るのやめとけ。」

どうしようかと考えていたら、後ろから手が伸びてきて、着たばかりの上着を脱がせられてしまった。

「でも…週に一度の楽しみが…」

「大丈夫だ。今日はもう一つの楽しみのほうに変更すればいいから。」

耳元で言われたその一言に、まさかと思ったときにはすでに遅く、後ろから伸びた手が服の下―…そして胸へ。

「ちょっ…先生、ストップ!」

「おいおい。俺から週に一度の楽しみを奪うつもりか?」

そう言われてしまうと、さっきまで週に一度の楽しみを奪うのは可哀相だと考えていた俺としては、返す言葉がない。
そんな俺を見て耳元でくすりと笑うのが聞こえた。

「そんじゃあ、いただきます。」

これからは冷蔵庫のビールの在庫はちゃんと確かめようと決めた。





―END―
過去拍手文
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なんやかんや言いながら先生のお願いは叶えてあげたいせっちゃんです
あ、これ書いたのは冬だったのですよー
アップするのが春になってしまっただけで…;笑





20090531      侑兎


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