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like an Angel
「はぁー………」

職員室にいるにも拘わらず、俺は大きく溜め息をつかずにはいられなかった。
原因は、俺の目の前にある一枚の白紙の進路調査表。
その調査表の主はやっぱり―…





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「先生お帰りなさい。今ちょうど、夕飯できた。」

今日は金曜日で、刹那が俺の部屋に泊まることになっていた。
先に帰っていた刹那が夕飯を作って出迎えてくれる。
すごく嬉しいことなのだが、今日はそう簡単に夕飯にありつける気がしない。

「刹那。ちょっと来い。」

「あ…、風呂も焚いてあるけど…」

「刹那」

「でも…夕飯冷めるし…」

「せーつーな」

おそらく刹那も何を言われるかわかっているんだろう。
そもそも刹那はこんなに自分から話すタイプじゃないから。
小テストの白紙解答を止めさせた日も、たしかアイツは今日みたいに口数が増えていたし。

何度か名前を呼んで、ようやく刹那は俺のいるリビングへとやって来る。
制服の上に着たエプロンを外し、俯いたまま俺を見ようとしない。
学校の指導室と同じように、俺の向かい側に刹那が座った。

「俺が今から何話すか、わかるよな?」

「………」

「なんで白紙で出したんだ。もう学校で俺と二人きりになる必要もねぇだろ?」

「大学…行かなきゃ駄目か?」

「駄目ってことはないが……、行って損はないだろ。お前頭いいんだし、行っておいたほうがいいぞ?」

家で刹那と二人でいるときくらい、教師と生徒ではなく、恋人同士として接したいのだが。
やっぱりこういうときは教師という職業上、説教っぽい口調になってしまう。

「大学行く意味がわからない。」

「は……?」

「高校は、親が海外行くから行っててくれたら安心だからって、言われたから入った。」

「じゃあ大学も行け。そのほうが親御さんも安心だろ。」

もっとも、高校に通わせたのにこんな教師と恋愛に発展している時点で、本当に安心できるとは言えないが。





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