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then and not till then
『   』

僕の名前を呼ぶ君

何度も 何度も

君の声は聞こえていた

けれど聞こえないふりをした


僕の袖を引っ張って

自分の存在を示して

必死に僕を求めて

君の気持ちは知っていた

けれど知らないふりをした


だけど僕は

気付かなかった

わからなかった

ある日ドアを開けて

君がいなくなったことに気付くまで

僕の中の 君 の存在に

気付かなかったんだ


「   」

その時初めて

僕は君の名を呼んだ

「   」

どうして

なんで

もっと早く君の名を

呼ばなかったんだろう

「   」

居なくなってから

気付くなんて

「好きだ」

もっと早く気付いていたら

君は僕から離れなかっただろうか

「好きだ」

もう届かないのに

それでも僕は

「好きだ」

ベランダから下へと叫んだ

朱い海の中にいる

動かなくなった君に向けて




        きだ」




―END―
*--*--*--*--*

ものの大切さに気付くのは
いつも失った後です





20080713     侑兎


あきゅろす。
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