then and not till then
『 』
僕の名前を呼ぶ君
何度も 何度も
君の声は聞こえていた
けれど聞こえないふりをした
僕の袖を引っ張って
自分の存在を示して
必死に僕を求めて
君の気持ちは知っていた
けれど知らないふりをした
だけど僕は
気付かなかった
わからなかった
ある日ドアを開けて
君がいなくなったことに気付くまで
僕の中の 君 の存在に
気付かなかったんだ
「 」
その時初めて
僕は君の名を呼んだ
「 」
どうして
なんで
もっと早く君の名を
呼ばなかったんだろう
「 」
居なくなってから
気付くなんて
「好きだ」
もっと早く気付いていたら
君は僕から離れなかっただろうか
「好きだ」
もう届かないのに
それでも僕は
「好きだ」
ベランダから下へと叫んだ
朱い海の中にいる
動かなくなった君に向けて
「好きだ」
―END―
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ものの大切さに気付くのは
いつも失った後です
20080713 侑兎
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