[携帯モード] [URL送信]
手を繋いで
授業も終わり、校舎を出て友達と歩いていると、なにやら校門に女子生徒たちが集まっている。

「かわいー!」
「この制服…小学生だよね?」
「ねぇ、ボク。誰かの弟くん?」
「わっ!はなせ!私に兄さんはいない!」


アレ?この声って…


友達を置き去りに、急いで校門へと走る。

「グラハム!?」
「あ!ビリー!!」

女子生徒に囲まれていた彼は、僕を見つけると一目散に駆け寄り、ガバッと抱き付いた。
おかげで注目の的になった。



  を繋いで



家へと二人で並んで歩きながら話し掛ける。

「なんで校門にいたの?」
「今日は、げつよーびだから部活はないのだろう?迎えに来てやったのだ。」

前に一度、月曜は部活がなく早く帰れると言ったことがあったけれど、覚えてくれていたなんて…

「めーわく…だったか…?」

隣をシュンとした顔のグラハムが歩く。

「迷惑だなんて!すごく嬉しかったよ?また迎えに来てくれる?」
「…そこまで言うなら…迎えにいってやらなくもない。」

一言返しただけでさっきの顔が一瞬にした朱に変わる。
迎えに来てくれただけで充分嬉しかったけど、そんなグラハムの顔を見ると余計に嬉しくなってしまう。

「ねぇ、グラハム。手繋がない?」
「なっ、何をいきなり言い出すんだ!たくさん人いるのにっ…」
「なんで?去年までは普通に繋いでくれたじゃない。」
「それはっ…そうだが…。と、とにかくダメだっ!」

小さいときは普通に街中で手を繋いでくれた。
小さいときは恥ずかしがらずにもっといろんなことをしてくれた。

グラハムには早く大きくなってほしい。
けれど大きくなるといろんなことを知ってしまう。
大きくなったら僕以外の人を好きになってしまったりするんだろうか…

「……リー…ビリー?」
「あ、ごめん、グラハム。なに?」
「ビリー、ぼぉーっとしてた……。だいじょーぶか?」
「ちょっと考え事してただけだから、大丈夫だよ。」

貴重なグラハムとの一緒な時間なのに、グラハムに心配かけてどうするんだ…

「あ、クレープ食べない?僕が買ってあげるよ。」
「食べるっ!」

時々友達と帰りに食べるクレープ屋のワゴンを発見して、気持ちを切り替えようとグラハムとクレープを食べることにした。





.

→#

1/3ページ


あきゅろす。
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!