おかえり だいじょーぶだ。 一人で行ける。 ビリーが言ったんだ。 『小学生になったから、もう一人で来られるでしょう?』 もちろんビリーが言わなくても、わたしは一人で出かけることくらいできる。 ビリーの家に行くとちゅうに、ワンワンとうるさくほえる犬がいても ふみきりがあって目の前を電車がすごいスピードで通っていっても 『小学生になったから』 わたしのてきではない。 だから、ふつーに通りすぎることができた。 …すこしはこわかった。 ぐぐぐっとせのびしてビリーの家のインターホンをならす。 早くわたしもビリーくらいでかくなりたい。 『はーい。』 「グラハム・エーカーです。」 『グラハム君!?まぁ…ちょっと待ってね、今開けるわねー。』 ビリーのママさんがドアを開けて出てきた。 「グラハム君、一人で来たの?」 「しょーがくせーになったから、一人で来ました。」 「まぁ、えらいわねぇ。」 ビリーのママさんはえらいえらいと、わたしの頭をなでた。 このくらいしょーがくせーにはできてとーぜんだ。 「ビリー、もう少ししたら学校から帰ってくるから、それまで家に入って待ってましょう。」 ママさんはそう言って家にあげてくれた。 ママさんにビリーの部屋にいたいと言ったらいいよと言ってくれたので、わたしはビリーの部屋でビリーの帰りを待つことにした。 . →# |