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宇宙へ
なんで

どうして

どうして彼が死ななければいけなかったんだ

死ぬのは、私のほうだったのに

なんで彼が…ロックオンが…



私のせいで彼から効き目を奪い

私のせいであんな体の彼を出動させてしまい

私はあのとき死んでいたはずだった

それなのに彼に助けられて

だから、次は私が彼を守ると

そう決めていたのに

どうして…



―窓へと手をつき、その向こうの闇へと目を向ける

貴方はこの宇宙の何処にいるというんだ

宇宙がとても愛おしいのに

こんなにも憎く感じるのは何故?


『いつまでそうしているつもりだ?』


―ふいに彼の声が聞こえた気がして振り返る

そこに求める姿はないと、わかっているのに


「ロックオン…」

―ぽつりと、その名を声に出す

返ってくる言葉はないと、わかっているのに


望みを持ってしまう自分はどれだけ愚かなのか



『らしくねぇなぁ…』


―彼の言葉が脳裏を過ぎる


『いつものように不遜な感じでいろよ』


―彼に以前言われた言葉が


彼が私にそう言ったのだから

ここでいつまでも悲しんでいるわけにはいかない

悔やんでいるわけにはいかない


いつものような、自分に…


「ロックオン・ストラトス…貴方はガンダムマイスターに相応しくない」


―口にすると、堪えていた涙が一筋流れた

いつものような自分に、戻れない

だから今だけ、本当の言葉を言わせてよ

貴方の好きな自分に戻るためにも


「でも貴方は…、最高のガンダムマイスターだ」


―私は宇宙に向けて言った

―宇宙に生きる彼に向けて言った







―END―
♯23『世界を止めて』より
*--*--*--*--*

ティエリアはロックオンのこと、たくさん悲しむだろうけど
ロックオンの想いもちゃんと汲み取ってくれると信じて





20080317     侑兎


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