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give me all,give you all
部屋に入れば、ロックオンに抱き締められているティエリアがいた。

「…アレルヤっ!」

僕に気付いたロックオンがティエリアから素早く手を離す。
ロックオンの声に、背中を向けていたティエリアが振り向いた。
その顔にいつもかけている眼鏡はなく、頬は濡れていた。
「…ア、レルヤ……」
零れそうなほど涙を溜めた目を丸くし、僕を見てくる。
まるで、なんでここにお前がいるんだと訴えるかのように。
「……ごめん。」
それだけ言って、僕は部屋を出た。

ティエリアは僕と付き合っているのに、なんでロックオンに抱き締められているのかわからない。
ティエリアがなんで泣いているのかもわからない。
というか、なんで僕が身を引いているんだ。
僕の胸はふつふつと沸く怒りのような、じわじわとくる嫉妬のような、何かしら黒いものでいっぱいになっていく。

「アレルヤ!」

後ろから呼び掛けるロックオンの声に止まる気なんてなかったけれど、肩を持って止められた。
「アレルヤ、違うからな!?今のはただティエリアを慰めてただけで…」

ロックオンの口から、ティエリアがナドレを敵にさらしてしまったことを知った。
僕は自分自身のことでいっぱいいっぱいで、ティエリアがそこまで追い詰められていたなんて知らなかった。
ティエリアにとって今回のことは屈辱以外の何ものでもないだろう。

「ごめんな、アレルヤ。誤解を招くようなことして…」
「ロックオンは悪くないんだし、大丈夫だよ。」
「ならいいが…ティエリア、相当まいってるから…あとはよろしくな、アレルヤ。
自室に戻ったみたいだから…。」
「わかった。ありがと。」
ロックオンはすまない、とまた謝ってどこかへ行った。




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あきゅろす。
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