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myself
暇を持て余していたら、いきなりドアが開きティエリアが入ってきた。

「どうしたの?ティエリアが自分から来るなんて珍しいね。」
「時間が余ったから来ただけだ。
それにアレルヤは今ここから出られないだろう?
アレルヤが俺のところに来られないなら、俺がここに来るしかないじゃないか。」

ティエリアのいうとおり、僕は今営倉入り処分を受けている。
独房から出ることができないというだけではなく、独房には本もなければTVもない。
あるのは必要な生活用品と窓に広がる宇宙の景色だけ。
特にすることもないから時間が果てしなく長く感じるのだ。
だから、こうやってティエリアがやってきてくれるのは今の僕にとってすごくありがたい。

「…どうしてあんな事をした?
わかっているとは思うが、アレルヤのせいでソレスタルビーイングのプランは大幅な調整が必要になった。
デュナメスの狙撃射程範囲が知られてしまったのだからな。」

『あんな事』というのは当然、僕が低軌道ステーションの重力ブロックを救出したことを指しているのだろう。

「なんでって…僕が助けたいって思ったからだよ。
僕には見捨てることはできなかった。」
「ミッションに背くとわかっていながら、か?」
「あぁ。あの時はミッションよりも僕の意思のほうが勝ってしまったんだよ。
もちろん、これからはミッションに背くようなことをする気はないから。」
「俺にはわからない。
意思って…なんだ?ミッションより重要なものなのか?
やっぱりアレルヤはマイスターに相応しくない。」

また『相応しくない』と言われてしまった。
ティエリアは眉間に皺をよせ、見るからに『理解できない』という表情をしている。

「ミッションみたいに言われたことをやるだけならコンピュータやロボットで充分。
でも僕はちゃんとした人間だから。
マイスターだって、人間だ。
意思や感情が入ることだってあるよ。」

たとえ脳がいじられていようと、細胞が強化されていようと、僕はちゃんと意思や感情を持った人間だから。

「なら俺はコンピュータやロボットと同じだな。
意思なんて、持ち合わせてない。」

ティエリアは淡々とそう言った。

でも、本当にそうなのだろうか。







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あきゅろす。
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