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休日の過ごし方
次のミッションまで間が開いたので暇つぶしに東京の刹那の家に来ていた。
否、暇つぶしというのは名目なだけで、実際は結構興味があり以前から来てみたいとは思ってはいたのだが。


-proof-


それにしてもその家はえらく予想通りなもので、不必要な物は何もなく、家具が備え付けの物だとすると実際に人が住んでいるのかも怪しく見えそうだ。
この部屋に俺の私物持ち込んだら、すぐに俺の部屋になりそうだなと、部屋を眺めてみる。
と、部屋の角で目がとまった。

そこには畳んだ服が置いてあり、誰も住んでいなくともおかしくないと思った部屋に刹那の存在を証明していた。
ふと、この服の横に俺の服を置けば同棲しているみたいになるかもしれない、ととりとめもない考えが浮かんだ。

「なぁ、刹那」

俺の隣りでソファーに座りながらテレビを見ている刹那に話し掛ける。

「俺もこの部屋に住もうかな。」

一瞬、部屋の空気が止まってしまったようだった。
刹那は何も言わない。
耳に入るのはテレビの中で話す芸能人の声だけだ。

(さすがに話題が突拍子すぎたか…。)

「いや、ほら結構東京っていいところだしさ。やっぱりもっと刹那といたいなとか思ってさ」
なんとかこの気まずさをなくそうと、もっともらしく理由を言ってみる。
格好悪い。もっとよく考えてから言えばよかったなんて今更ながら思った。


ことん


突如、右肩に重みを感じる。
ちらとそちらを見れば刹那が俺に寄り掛かっていることがわかる。
これは…もしかして了承の意ととってもいいのだろうか。

「まぁ俺と住んだところで二人とも飯作れるわけじゃないから毎日コンビニ弁当になっちまうだろうけどな。部屋狭くなるだけで生活が楽になるわけじゃないっていうかさ」

スー‥‥

(ん…?
今聞こえたのはもしかして…。)

合っているだろうという半分の確信と、間違っていてほしいという半分の期待を抱きつつ、刹那を肩から落とさないようそっと顔を見る。

スー‥‥

(やっぱり…)

愛しい恋人は俺の肩で規則正しい寝息を立てていた。
格好悪い。自分一人変な期待をもって、舞い上がってしまうなんて。
俺の言葉を聞いていなかったのは正直落ち込んだ。
だが、その寝顔があまりに無防備で可愛く、それでもいいかという気持ちになってしまう。

耳に入るのは芸能人の声とかわいらしい寝息。
そして俺は、自分の服を刹那の服の隣りに置く必要はないことに気付いた。

右肩の重みと温もりが、今ここに俺たち二人がいることを証明しているのだから。



-proof- END


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あきゅろす。
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