そばかすの君
「……ユキセ?」
サリアが消えてからそのままの態勢で考えてると懐かしい声がもう一つ現れた。
緑の帽子にそばかす、変わらない姿でよくリンクと喧嘩してたミドだった。
「……じゃねえか。髪も白くないし、背小せえし。てか兄ちゃん誰だよ、なんでんな態勢のまま座ってんだ?」
『あ、いや……何でもない』
「てか、なんで此処にいんだ?」
『え……と、道に迷いかけて……』
「ふーん……」
疑われてる。めっちゃ疑われてる。
我ながらに苦しい言い訳過ぎだ……!
冷や汗をかきながら半目でこちらを睨んでくるミドの返答を待つ。
「ま、別にいっか。なんで兄ちゃんのことユキセって思ったんだか。
あ、そうだ。兄ちゃんユキセ知らねえ?リンクって奴と一緒にこっから出て行きやがった奴なんだけどさ」
『さ、さあ……知らないな。どうしてだい?』
「いや……べ、別にたいしたことじゃねえけどよ。リンクとハグれたまま何処かに行っちまったらしくて、……双子の奴らとか心配してるし、サリアのこととかあるしさ……」
『……寂しいから会いたいと』
「そ………んっなわけねえだろっ!!」
おーおー、上手く軌道修正したな。
しかしミドもあれね。7年経ってもその意地っ張りは変わらないのね。
なんだか安心したよ。
「だ!誰があんな奴!!土産話待っとけと言うから待ってる双子が俺にちょっかい出しまくるから早く帰って来て欲しいだけだーッ!!」
こんな所で大声出すほどか。
双子姉妹も相変わらずのようだ。
なんだか笑いが込み上げてきて、我慢しようにもミドの顔を見てると無理だった。
ごめんねミド……っ。
『ぷっ、くくくっ……』
「なっ、何が可笑しいんだよー!!」
『いや、その、なんだかんだで心配してるんだなってのと顔見てたら笑いが……』
「人の顔で笑うんじゃ……」
顔を真っ赤にしながらまた怒鳴り声を上げようとした途端、何かが大きく爆発した音と凄まじい地響きが襲った。
大きく唸り声を上げながら揺れる大地に森から鳥が逃げるように一斉に羽ばたいて行った。
ミドに橋に捕まりながら伏せるように指示しながら、止むまで空を見上げる。
そこには青かった空を不自然に黒く染め上げる煙がよく見えた。
ていうことは次はデスマウンテンか………。
今のは噴火した音だろう。
コキリの森はデスマウンテンに近い。
だから大きく揺れたのだろう。
封印された太古の竜が復活し暴れたに違いない。
揺れが収まったのを確認するとゆっくりと立ち上がる。
橋が落ちなくて良かった。
『ミド、しばらく森の集落の中心……出来れば池ほどの水が沢山あるところにいた方がいいだろう。皆にそう伝えて』
「へ?てか今のって?え?」
『俺はこれからさっきの揺れの原因を見つける』
未だ戸惑っているミドの前でしゃがんで見つめる。
『今森の主がいない今、皆を守れるのはミドだけだ。
出来る?』
「……お、おう!何がなんだか分からねえけどやってやる!!」
『よし。大丈夫だ、サリアも目には見えないが一緒に力を貸してくれるはずだ!
じゃあ頼んだよ!』
元気付けるように肩を叩いて髪の毛をぐしゃぐしゃになるくらい撫でつけながら出口へと走った。
「なにすん……ってなんでサリアの名前…
……俺の名前言ったっけか?」
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