行方不明の姫
『リンク、リンク起きてー。
ついでにナビィも』
《ちょっと、私だけついでって何よ……》(ヨロヨロ
ナビィはずっと帽子の中で耐えていたらしく、へにゃへにゃになりながら出てきた。
しばらくしてリンクも起きて、ちょうど目の前にいたキング・ゾーラに驚いていた。
うん、確かに心臓に悪い。
何がって、顔がのっぺらしてて恐い。
「ゾーラの王様!
水の精霊石が何処に在るか教えて下さい」
『私達、王家に伝わる伝説を聞いたんです』
「ハイラル王家の使者よ………、すまんが今、余はそれどころでは無いゾラ…」
ゾーラ王は何やら困った様子で、
そう告げた。
そうだ、ルト姫か。
主に目の前の魚人が原因でジャブジャブ様の中にいるんだった。
「余の可愛いルト姫が、ジャブジャブ様に飲み込まれてしまっての……」
「ジャブジャブ様は泉に住まうゾーラの守り神だ」
なのにルト姫を食べてしまった。
何かの怒りを買ったとか思わないのだろうか。
まあ、ルト姫は目の前の親バカから逃げる為ジャブジャブ様の中にいる訳で、食べられたというのは語弊があるんだけれど。
怒りを買ったと思わないのは、以前ガノンドロフがこちらに来てそれからジャブジャブ様が急におかしくなったとか。
成る程、恐い、怪しい、ガン黒の代名詞が来たなら解る。
何故盗賊王が此処へ来れたのかとか、ハイラル王家の証でも持っていたのか、では何故だとか他の方法でかと思ったが、
恐らく本人に聞かないと解らないだろうから諦めた。
「明日はおめでたい婚礼の日だというのに……」
見た目大きさ的にリンクと同い年くらいなのに大変だな………王家って。
「じゃあジャブジャブ様の中に入ってルト姫を助け出してくるから、そしたら水の精霊石を渡してくれるって約束でどう?」
リンクが出した案にキングゾーラは乗ってくれた。
……水の精霊石がゾーラのサファイアのことで結婚指輪の代わりだっていうのを、キングゾーラが果たして知っていたかは定かではないけど。
言わない方が良いかな。
キングゾーラから家に代々伝わる決して無くならないらしい武器、ブーメランを貰いジャブジャブ様のもとへと向かった。
* * * * * *
…………でか。
《確かに人一人飲み込むぐらい訳無いね…》
鯨のような大きさのあるジャブジャブ様の前にいる。
………喰われる為に。
「やい!ジャブジャブ様ルト姫を出せ!!」
『ちょっ、相手守り神!!』
「そうよ!守り神だからお供え物で釣るのよ」
『ナビィ………』
バチが当たりそうだ……。
この小ささでは到底腹は満たされなさそうなサイズの魚をリンクが供えた。
(ただ地面に置いただけだけど)
すると匂いを嗅ぎ付けたのか、今までお昼寝中だったのか閉じていた目をあけた。
「やった目開けた!」
『…………帰っていいかな』
「え?」
『いや、なんでもない………』
未来を知らないリンクはこの後来る某桃色球体を彷彿とさせる吸い込みを知らない。
知っている自分はさっさと逃げたいが理由が思いつかず、
目の前の守り神が口を大きく開けていた。
やっぱ某桃色球体を思い出すわ。この吸い込みっぷりとか。
いや、本人には会った事はないけど。
――ドシャッ。
『ぶっ!
くっさ………生臭っ…』
顔から突撃し、この上無い痛みを味わった後、直に味わうこの湿った(かなり………いやちょっと臭い )空気とか、
今マジでジャブジャブ様の中なのか。
《中入れたノネ……》
「ルト姫何処だろ………」
どうやらジャブジャブ様の中はダンジョンの様にはなってなく、普通に生き物の体内の様だ。
て、ことは壁を剣で傷付ければ血は出るだろう。
最悪菌が入るかもしれない。口内炎確定だな。
デクの樹サマの時は………まあアレは樹、だから……?
「おーいルト姫ーっ。精霊石………じゃない、
ルト姫ーー!!」
『オイオイ………』
今精霊石って聞こえたぞ…………。
「きゃあああああッ!!!!」
『!!』
「あっちだ!」
悲鳴の聞こえた方へと行くと
いきなりボスである
バリネードがいた。
何で!?
.
[*前へ][次へ#]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!