異世界の空
びゅうびゅうと風鳴りが耳に聞こえるなか、自分とリンクは大空を飛んでいた。
Gが体に掛かる時はどうなるかと思ったがケポラゲポラが安定した飛行をしてくれたので幾らか安心出来た。
地上では雲に見える霧の様なものが体をすり抜けていった。
ゾーラの里に行くには山も越えなければ行けないらしい。結構な高さだった。
「わぁ……すげぇ……」
『……よく下見れるね』
「だってさ!!すごいじゃん!!山から見えた景色もだけどすげぇ世界って広いって感じる!!」
『……こっちはいつ落ちるか不安だらけなんだけどね』
「こ、これ……痛いから羽を毟ろうと引っ張るでない……」
肝が冷える様な高さにいつの間にか掴んでる手に力をいれていたようで、手を離したら何本か毟った小さな羽が手から離れていった。
「ぜったいまた来てね〜、か。ホッホー、おぬしモテるのう。美少女ばっかり三人目か」
「るせーな、もうっ」
リンクを楽しそうにおちょくる大梟。サリアにゼルダにマロン……。
『若いなぁ……
(好意に)気付かないのが難点だけど』
「おぬしも十分若いんじゃが………捻くれてるのぉ」
『良いんだよ別に』
恋心とかなんて諦めてるし。
期待するより可愛い子をずっと見てる方がマシだと言えばオヤジ臭いと返された。
臭い……そんなに加齢臭するか?
え、違う?
「どうじゃな。“世界”は」
ユキセも見ろと言われ仕方なく下界を見る。
うわぁ……見るだけで脚がすくむ……。
下見るより空見てた方が楽しいんだケド。まあ何回も思うこと。
この世界は現実世界と違い、森などの自然が沢山溢れてる。
夜なのに人間の暮らしの明かりは小さく、満天の星と月で明るく感じる。
ガソリンの排気ガスの匂いなんてにわか覚えだ。
とても澄んだ空気、美味しい空気とはこのことか。
たしかにこの世界は美しい。
だけどなんでだろう。
自分が暮らしていた世界が少し恋しく感じた。
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