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赤く煌めく





* * * * * *




「母ちゃん美味しいね〜」


ゴロン族の子供が嬉しそうに岩を食べている。
こうボリッ、ゴリッ、ガリッて感じで。
すげぇな。
けれど、笑顔で岩をガツガツ食べているのを見て岩から落ちたり傷付いたりした甲斐もあったと思う。
自然と表情も緩んできた。


捻って痛めた足をリンクには言わずに我慢して洞窟の入り口まで歩いて来たけど、そろそろ限界かもしれない。


ダルニアの元へと向かうと、ダルニアは楽しそうに岩にありついているゴロン族を見つめている。



「実は、前にもガノンドロフとかいう奴が来てな」

「えっ!?」

「配下に加えてやるから精霊石をよこせってな、ぬかしやがったんだ。
で、断ったらあの古代竜を凶暴にさせやがった。

あの古代竜は普段大人しかったんだがな……」



酷い。
ガノンドロフの力はどれほど威力のある物なのだろう。
ハイラルに忠誠を誓う裏で魔物を操り平和を乱す。
ハイラル王はそれを認知しているのだろうか。


「リンク、おめぇこそオトコの中のオトコだ!ユキセもな!侮ってたぜ!

さあ受けとんな。これはオレからの感謝と…、友情のしるしだゴロ!!!」



ダルニアが上げた手の中から光が溢れ出し、紅い光を纏った、
炎の精霊石、ゴロンのルビーが姿を現した。



《ヤッタネ!リンク!》

「これで二つ目だ!」



一匹と一人がはしゃぎながらきらきらと光る宝石を渡されたのを霞んだ視界で見ていた。

やっと二つ目の精霊石をてにいれられて良かった。

そう思った瞬間、脚の力が抜けていった。


あれ、あれれ?

力を抜いたつもりなんてないのに。



けれどこれ以上力が入らなくて、
リンクの間抜けた驚きの表情がこちらを見たのを最後に意識が途切れた。

ごめんね、リンク。

ちょっと疲れちゃったから先に休むや……。




* * * *




『う…ん……いたた……』



頭が少し痛むのを擦りながら上半身を起こした。

腕を見れば包帯がしてあった。多分他の部分にも包帯がしてある。きっと誰かがやってくれたんだろう。

隣に暖かさを感じて、
リンクが背中を丸めながらくっついて眠っていた。
きっと周りのゴロンの人たちがやってくれたのだろう、毛布が敷いてあって背中の痛みはあまり感じなかった。

他はどんちゃん騒ぎをした後なのだろう、地面に寝転がったりして皆そのまま眠っていた。
人とは違うから恐らくきっと寒さの心配はしなくて平気だ。


疲れて眠ってしまった訳だけれど、
今は目が冴えてしまって眠れない。
リンクを起こさないようにゆっくりと立ち上がろうとすればリンクが身動ぎして私の名前を呼んでいた。



「…ん………ユキセ…ねぇちゃ…」



もう癖みたいに姉ちゃん呼びだけれど、きっと心の内では名前も呼んでるのかも知れない。
くすりと笑い、緩慢な動作でさらさらとした絹糸の様な髪を撫でた。

あと一つ、あと一つ精霊石が集まればリンクとお別れになるかも知れない。



そのあと、自分は何をすればいいのだろう……。

すやすやと熟睡しているリンクを見ながらもどこか遠くを見ながらそんなことを考えた。



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