ご用心
* * * * *
「どうしよう……!姉ちゃんが!」
《結構な深さだった様だけど……心配だわ!早くユキセのもとへ行きましょ!!》
とナビィの言葉を皮切りに進める道を走った。急ぎ、だけど慎重に前へ進んで教わった通りにバクダン花で壁を壊して進んだ。
途中、道を塞ぐようにドドンゴが現れた。
辺りにいたドドンゴよりもでかい。
「戦うしかないか!」
《リンク!そいつの弱点は尻尾だよ!!》
あのリザルフォスよりのろのろと動きが遅い隙に一気に間合いを詰めた。
その時、ドドンゴがぱかっと口を開けた。
「うわぁあ!?」
こっちへ向かって炎を吹いてきた。
反射的に背を向けて走って避けた。
火吹くなんて聞いてない。
え、なんかお尻が熱い……。
《リンク火が!お尻に火が!!》
「うわあああ!!あちあちあちッ!!」
《早く消さないとお尻がなくなっちゃうヨ!!》
ナビィが羽で必死に火を消そうとしてくれるのはいいけど、ぜんぜん消えなかった。
何とか火は消し終え、恨みを込もった目で(熱さと火傷でちょっと涙目)再度ドドンゴと対峙する。
アレ、マジ熱い。
ちょっとお尻が火傷でひりひりするような感じがするのは気のせいだ。
「くそ〜…」
なんか踏ん反り返ってるような感じがして更にムカつく。
また口を開き火を吹こうとしている。
ふと近くに大きめの岩を見つけた。
「!!
これだ!!」
岩を持ち上げ、ドドンゴの口へと投げた。
ガツンッと当たった音がして、痛そうに暴れる。
そしてこちらへ尻尾を向けた所を剣で攻撃して倒した。
「ふう……」
一緒に戦ってくれる人が一人欠けただけでもこんなに苦労するなんて。
《大丈夫?》
「うん…、早く進もう」
姉ちゃん大丈夫かな……。
身体中痛くて動けなかったらどうしよう……。トカゲのモンスターと戦ってた時、かなり傷作ってたし………。
倒した時……口を押さえながら、真っ青な顔して震えてた。
心配して声かけたけどごまかされたし………。
撫でられたのは嬉しいけど。
「姉ちゃん……」
――――ミシ………
「《ん?》」
――――ピシッ…
―――バキッ
「これは……姉ちゃんと同じ状況、だなぁ…」
《そんなこと言ってる場合じゃないわヨー!!》
そしてこのまま
下へと重力にしたがって落ちていった。
下に穴が空いて落ちてかない人間はいないよね。
(冷静)
* * * *
『……う、いたたた……』
上手い具合に命に別状はない感じで着地出来たようだ。
仰向けで多少むち打ち状態で背中が痛いけれど。
動けば耳元でガショガショと音がするので石では無さそうだ。
どうやらこれがクッションになってくれたようで、
手元に丸い軽そうな素材をした何かが手に触れたので持ち上げて見えるところまで持ってってみる。
『……うげッ!?骨ぇッ!?』
すぐさまソレから手を放し、辺りを見回す。
辺り一体が骨骨骨骨骨骨……。
大小様々の骨が辺りを山のように覆っていた。
先ほど手に持ったのはリザルフォスの頭蓋骨だったらしい。
近くにマグマが流れていないからなのか、少しひんやりとした空気だ。
これが外と同じ温度なのかはもう分からないが。
此処が食事場なのか、それとも骨を捨てる場所なのか分からないがとにかく早くこの場所から離れたい。
腐ったような匂いがするから。
急いで山の上から脱け出して(ゴロン族っぽい頭蓋骨もあった。南無阿弥陀仏)、リンク達と合流しなくちゃ。
一人でリザルフォスと戦うなんてことになったら逃げるしかもう何もない。
奴ら二人組で襲ってくんだぜ。
この状況なだけでも十分フラグは立ってるのに敵に遭遇とかもう死ぬしかない。
辺りを警戒しながらゆっくりと道を進んだ。
魔物が出てくれば鞘の付いた剣で叩きつけ、ベヒーモスの視界に入らないように死角へ移動する。
録に水分も摂らずに歩いたため喉がからからで唾液も出ない。
ひゅーひゅーと息を吐きながら目に滲む汗を拭う。
こりゃ早いとこリンク達と合流しないと危ない……。
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