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熱の籠る空間の中で





『いたた………』

《今度盾買わなくちゃね。危ないヨ》

『だね…(次は余り使わないんだけどなァ…)』


この先盾を使っても防ぎきれない奴等ばかりだ。それにお腹の中、だし。剣使ったら逆に可哀相な気が……。



「うわっ土から変なのでてきた!」

『っだ!!』



よそ見しながら前へ進んでいたので足元に気付かなく、躓いてしまった。



「ピー……」


ミニ?…プチドドンゴ……?確かそんな名前だったよな…。
あ、ベビードドンゴか。



《倒すと爆発するよ!》



あっちでばたばたしてるのを余所に
なんか目の前に逆さまになってじたばたしてるベビードドンゴをどうしようか迷った。



『(ドドンゴて鳴くっけ………?)』



とりあえず、足で軽く蹴ってコロンと転がし元に戻してやる。
先ほどの戦いでどうしても今は剣を使いたくはなかった。
これを聞いたら恐らくインパは良い顔しないだろうが無理して殺生する必要もないだろう。相手が攻撃してこない限り。
もし蹴ったのが原因で激突されたり噛まれたらどうしよ……。しかし不思議なことに、何も起きずにそのままそのベビードドンゴは地中に潜っていった。

向こうではバッサバッサとリンクがお仲間の数を減らしている訳だけれど。


………なんだったのだろうか。良いのか、これで。




爆発するのは勘弁したいので
さっさと引き上げた。
が、今度はさっきよりも大きなドドンゴに遭遇。



あら☆偶然。



そういえば忘れてた、此処ドドンゴの巣窟だった。
そりゃ、たくさんドドンゴが居ても可笑しくないよね。
住み処なんだし。
でもゲームと現実の差に泣けてきたよ。
ハート……、切った草からハートでてきてくれないかな。
ピンクの妖精さんは遊びに来たのか捕まってたのか何なのか、ふよふよと浮遊しててたまに傷を癒してくれたりするけど。

魔物が近くにいても妖精までは攻撃対象に入らないのか攻撃はしてこない……。
イイナ……。



宝箱も無ければ地図やコンパスも無い。
爆弾袋も当然無い。
しかしゴロンの腕輪がなくても爆弾は持てる。
そこは良い。


取りあえず奥を進めば目的地につくだろう、という適当な考えで進んでる。ドドンゴは基本スルー、キースは厄介なのでリンクがパチンコか物理で対処。
そうやって先へ進んだ。

リンクが率先して前へ進んでくれるから頼もしい代わりに申し訳なくなる。




奥へ行けば行くほど体感温度がヤバイと感じた。
露出してる肌がヒリヒリと痛むくらいだ。
このままだと脱水症状に成り兼ねない。
暑い、暑いよ。



そういえばここのボスステージって…確かマグマの池が中央にあったはず……。
うわぁ……それを知りながら行くのはかなり自殺行為だなぁ……。



「暑いよぉー………」

《ホラ、しっかり!》



妖精は温度を感じる事はあるんだろうか……。
ナビィを見て考えた。

そしてムワッとした空間。
敵も段々遭遇する数が増えてきた。



――――ミシ……。



『………?』



何か軋む音が耳に入った。


松明を付ける必要性があまりない、この炎やマグマ溜まりがある洞窟はナビィの光頼りで探索している。


しかし、小さなナビィの光では辺りをそんなに明るくはできなく、やはり足元は見えにくい。
カンテラがあればなぁ……。


こっちもマップの細部まで覚えている訳ではなく、
あっちの世界、現世とは違い洞窟の中も違う。




―――ミシミシッ

――ミシッ……




立て続けに鳴る軋みに辺りをくまなく見渡した。
その軋みが途絶えた時、臓物が浮くような感覚に陥った。



『――ッ!!!!!!』


「っ姉ちゃん!!!?」


《ユキセ―――ッ!!!!》



ちょうど自分の足元の地面が崩れたのだと脳みそが気づいたのは、リンクの驚きと絶望に満ちたような表情が自分の目に映った時だった。



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