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瓢箪から出たのは?





城を出たあと旅資金にと、お金を貰ってしまった。遠慮しても金無いのにどうするつもりだのまだ支度やってないだの言われ続け、結局折れた。

歩く度に音を立てる麻袋。

結構重たいそれはきっと沢山入っているのだと認識出来た。しょうがないので遠慮なく使わせて貰うことにしよう。

それと本を貰った。
欲しかったもの通り、食べれる物やそれ以外の物、旅に役立つことばかり書かれた古びた表紙の都合の良い本だった。
そう、都合の良い本。二度言います。


(荷物が重い……)


本と言っても想像通りの分厚い本。
指三本分の厚さだった。
そして腰には剣。鉄の塊なので当然重い。留め具でベルトに固定しているために腰が重い。良いシェイプアップになるよこれ……。



今、自分達はゴロン族というでかい体躯であり、岩を食べる種族が住むデスマウンテンへと歩いていた。
山は名前から恐ろしいが、ゴロン族は比較的に温厚な性格が多く、人間にも親しい面を持つ。

その長が精霊石を持っているとインパから聞いた。
原作通りの展開なので何処に行けばいいかは分かる。

そしてその山の麓に今は少ないシーカー族の集落であった所を末裔のインパが難民に渡して出来たというカカリコ村がある。

とりあえずはカカリコ村に入るのが先

だったが…………。



『どうしたら分かりやすいハイラル平原を迷うよリンク君』
「だ、だって〜……」

〈流石に地図を逆さまに読むとは……〉



さすが勇者……やる事が違うぜ。
ナビィが言った通り、訳分からんちんな事をしでかし、今自分達が何処にいるか分からなくなった。
馬鹿にするかの様に烏がアホウと鳴いてるのが憎たらしい……。


森の中で暮らしてたんだ。
私にとっては普通でも違うことは沢山あった。これもその一つ…かな?
まぁ更に何か起きないことを祈ろう……。

カカリコ村はハイラル城下町の近くと聞いた。どのくらい近いのかは分からないけれど元の道を戻っていった。



「………リンク、いじけて無いでさっさと歩い……、何してるの?」



こちらに背を向けて何かをしていたリンク。
何やら何か見つけた様子。しかし、ぜんぶが見えないので近づいて見るとでかい葉っぱが見えた。

…………でかい葉っぱ?

ハイラル平原に?



『………、っ!リンク逃げんよ!』

「うぇっ!?えっ!?」



一瞬脳裏に掠めたものを思い出してリンクの腕を掴む。本人はまだ分からない様子だったが地面が盛り上がるのを感じ、更に早く足を動かした。
そして出てきたのは巨大な植物型の魔物。



〈ピーハットだよ!デカ過ぎてやっつけられないから早く逃げて!〉

「うわあぁああぁぁあああ!!!
ごめんなさぁああい!!!」

『謝罪はいいからっ、早く走るぅぅぅうううぁぁあああ!!』



走りに走ってピーハットをまいた。
移動自体は少し遅いが地面から突き出た葉の部分は恐い。
土を刔る程度の固さだ。十分威力ある。

事前に教えておけば良かったと後悔する。失念してた……この世界は魔物がうようよと闊歩していることを。



『ハアッハアッ……っあー……、なんとかまけた?』

〈うん、周りにはいないヨ!
速いねユキセ!〉

『はぁ……体がリンクに順応したんじゃない?』



普通に体力と筋力が上がっただけか……と息を整えながら思う。

いや勝手に身体能力が向上したとか特殊能力もらった訳じゃあるまいしどこの主人公だよ……。
本気とか、火事場の馬鹿力とかないから。
スペックはただの人間だから。

まぁ……それらを抜いても最近おかしな事ばかりだからな、と思った。
あんなのがいる世界ならおかしな事が起きても仕方がないとさえ思えてきた自分は可笑しいか?いや可笑しくなn(ry



「うわぁぁああん!!!こわかったよォォオ!!!」



泣きたいのはこちらの方だ。

リンクが転んだ事に泣いているときにどんどんどんどんどんd(ry)近づいて来て……
泣きたい………。



『うぅ、ナビィ〜……』

〈ヨシヨシ………〉

「(アレ?オレは………?)」



リンクは一度自分の行動を省みた方がいいと思うよ!
見たことが無いものはぜひともこちらに一言言ってから触って欲しいと願います。
じゃないと命がいくつあろうと足りない。



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* * * *

瓢箪…ひょうたん


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