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予知夢





「お話ししましょう」



表情を暗くしたゼルダが見た夢とは、


ハイラルがみるうちに真っ暗な雲に覆われ、


その時、


一筋の光が現れて雲を
切り裂き、


大地を照らすと、
そこに妖精を連れた


緑に光る石を掲げた
人の姿が現れた………というもの。



他人事のようにそれを聞いていた。


王家に伝わるお話。
何度も聞いたことのある話だった。

自分がその夢にいないのはきっと異世界から来た者だからだろう。

それは自分も重々分かっていた。
自分なんていない方がいい。



……けど、人生で一番不可解なことが起きるのだ。




「妖精を連れた人はリンク、あなただと直感しました。

そしてユキセ、その時あなたの姿は見当たらなかった……けれど、この夢には続きがあるのです。

雲のすき間をぬうように何かが空から降りて来るのです。

それは魔物のような姿で、翼をもち、しかしその翼からは風を世界に送るのです。

暖かくて、

優しい、
命の芽吹きを知らせる風。

きっとあなたと関係があるんだと私は思います」

『…………え……?』



夢を思い浮かべて優しい表情をするゼルダ姫に自分は逆に酷く動揺した。


そんな………。


世界は自分を受け入れるの……?
な、なんで……!?



ゼルダの話を耳にしたとき驚愕した。
そして動揺した。

自分は異世界から来た人間だ。

世界にとって異分子のはずだ。

自然と自分の手を握っていて、汗ばむ感じがして気持ち悪かった。
もしかしたらそれはゼルダの思い過ごしかもしれない。

ハイラルにもうすぐ闇が迫っているのは分かる。
けれど、なぜその魔物が自分に関係あるとゼルダは考えたのだろう。
この場に、リンク以外に自分がいるから?

それに………翼……?
自分には翼などという大層なものは持ち合わせていない。

きっとゼルダ姫の思い過ごしだ。
だって、この世界に自分は関係無いのだから。




「……私は恐ろしいのです。
あのガノンドロフは夢に現れた暗い雲のことに違いありません」



彼女はここでガノンドロフを監視していたようだ。

窓の向こうにちらっとハイラル王に謁見するために来たのだろうガノンドロフの姿が見えた。

リンクも窓辺へ近づき見てたらガノンドロフがこちらをみてきたらしい。
驚いてすぐに窓から離れていた。

あのツラだもんな…。
あれはビックリする……。
こっち見んな←


「あの男の悪しき心がハイラルを滅ぼす………そんな気がして……。でも、お父様は私の話を信じてくださらない……」


と、また表情を暗くした。
ゼルダのお父さん、ハイラル王の事も解らなくはない、と思う。

予知夢だとしても確証の無い夢。
外れてしまえば民から顰蹙(ひんしゅく)を買うかもしれない、政治の頂点に立つ人がそんな物に左右されてはいけないだと思う。
でも娘からしたら自分の父親に本当に伝えたいこと否定されるのは悲しい事だろう。



『信じるよ。
ガノンドロフを止めないと』

「オレも、信じるよ。
あいつの邪悪な力でデクの樹サマが死んだんだ」

「……ありがとう。
あの男にトライフォースを渡してはなりません。聖地の入口は"時の神殿"の中に………。
だけど、その扉は石の壁で固く閉ざされています。
それを開くためには

「3つの精霊石を集めて神殿におさめよ」

……と、伝えられているのです。
そしてもうひとつ必要なのが、王家の秘宝。
この"時のオカリナ"なのです」



この時のオカリナと精霊石が鍵…というわけだ。
しかし、そのオカリナを肌身離さず昨日の変装時まで持っていては盗まれた時危険じゃないのかな……。
インパがいるから安心だと思うけど……。

それに相手方にもっと重要な場所まで知られていないからまだ良かったけど……。



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