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乳母





今、ゲルドの彼女達が今狙うのはただ一つだろう。
恐らく彼女が持ってる……



「そこの小さな娘………お前の正体はわかっている。我々に時のオカリナを渡せ!!」


「!!!」



リンクと私を関わらせまいとしての行動か、ダッと逃げる女の子。

それよりも……え?

時のオカリナ持ってたの?ただのカツアゲじゃないの?

何よりもなんで今日時のオカリナなんて隠し持っていたのとかゲルド族も何でそれを知っていたのとか気になる。


もしかして忍び込んで盗まれるのを見越して持っていたのか。



『あ、ちょっと危なっ……!!!』



一人は危険だと察した身体が自然と女の子を追いかけた。

ゲルド族の一人が逃がさないと剣を振るうが切っ先が当たる前にリンクが剣で受け止めた。

キンッと甲高い金属音が響き渡る。

転んだ女の子を立ち上がらせてせめてこの子には向かないようにゲルド族に見えないよう抱きしめた。


「ム…、お前ら何者だ!?邪魔をすると……」


「しっ、誰か来るぞ!!」



来るか、と思ったがゲルド族の一人がこちらへ刃を向けた方に呼びかける。
人の気配を察して、舌打ちをしながら足早に逃げていった。



「待て!」

『ちょっ、リンク!!』



行っちゃった……。
そのままゲルド族の後を深追いをしてしまったリンク。

すぐ戻ってくるだろうけれど……金属の弾き合う音がした。

……直ぐさま何かが木の箱に当たったような音が聞こえるんだけれど……大丈夫かな。
凄い心配だけど女の子いるし……。

ゲルド族も目当てはオカリナなので、今何か起きたらガノンの今までの行動が無駄になってしまうだろうから何もしないと思う。



『もう夜だし、そろそろ帰った方がいいんじゃないかな。
………心配した顔をしてる』

「え……」



女の子が後ろを見遣ると彼女の乳母がいた。
ちょっと迷惑かけちゃったかな。女の子の事を言わなかった訳だから。



「姫……」

「インパ………!」



女の子は駆け出して乳母に抱き着いて、乳母であるインパさんも抱きしめ返す。

心配したのだろう、インパさんは安堵のような表情を浮かべていた。



「ご無事で良かった……
そこの者も礼を言う。姫をありがとう」

『それを言うなら先ほど走っていったリンクに言ってやって下さい』「………驚かないの?」



何を……というと姫という地位について何故驚かない、てことかな。



『うん………そんな感じはしたから』



今までの行動を見てるとね。

城下町の子であるはずなのに、自分達と同じまるで初めて来たみたいな感じだったし、
それに周りの子と比べれば気品があって浮いてたし。


まぁお金を沢山持っていたから端から見ればご令嬢……。
でも兵士から逃げてたから……悪い貴族の娘?もしくは……まぁどのみち兵士から逃げなきゃいけない立場の人物とかも考えた。

でも性格的にそれは無しだと分かっているし。
行動の他にも物語を知ってるから、というのもある。


それはとても口が裂けても言えないが。



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