ボムチュウボウリング
――ドカアアアン!!!!
螺式で向けた方向へとくねくねしながら走る移動型爆弾、
ボムチュウがコッコなどの障害物を避け、見事的に当たった。
………爆発音がかなり耳に響くし、驚くので心臓の悪い方はご遠慮下さいとかいう貼り紙を貼ったりして警告した方がいいと思うのは自分だけかな。
そしてこんなに爆発させてこの家は壊れないのか……。
耐震、なんてしてないただの煉瓦家だよね。
積み木崩しの如く崩れる筈だがなかなか崩れる気配がないので少々不安だ。
よく近所迷惑だとか苦情が入らないなぁ。こんな爆音と震動の中、夢の世界へと旅立っている短髪のなかなか起きないお姉さんを見ていた。
お姉さんもコッコもこの家もなかなかタフ。
「きゃあ!面白ーい!!」
声の方向へ視線をやると女の子は今までには無い遊びに興奮していた。
事実初めてのリンクよりも楽しんでるみたいだ。
ボムチュウボウリングをいたく気に入ったらしい。
後ろにある蓄音機を見た。…………この世界に唯一ある機械だよね多分。
導火線に火を付けて爆発しないうちに的に目掛けてボムチュウを発進させた。
あ、外した……。
「ねぇ、ゼルダ姫ってどんなひとかな」
ふとリンクが聞いてきた。目の前で爆発が起きてるので少し、いやかなり聞きづらい。
しかも本人は近くにいるし……。
『そうだなぁ………
お姫様だし、
可愛くて可憐な(笑顔の素敵な)子だと思うよ?』
お転婆だけれど。
いろいろと言いたい事をはしょってそう言った。
ちらっと横目で見れば、
実際そこにいるお姫様は頬を真っ赤にして照れてたとか。
「美人かぁ………
それともスッゴい
ブスだったr(ドガアアアアン!!!!!!)」
『…………υ』
それはないよ…………リンク。
リンクが言いかけた言葉(=女子にとって禁句)は女の子によって無かった事に。
リンク、疎いからなぁ………。
疎くてもそんなこと言っちゃ駄目だよ……。
的を当てまくったので、ルピーやら商品をたんまり貰って外に出て違う店へ回ることにした。
他にも色んなお店を回って遊んだ。
大体は女の子が払ってくれてたんだけど………やっぱり女の子にお金を使わせるのは気使っちゃってなぁ。
けれどもうお財布の中には今日の宿代だけぐらいしか残っていないから出して貰うしかなかった。
さすが今までそういった俗世に関わらなかったというか……
お金に関わらなかったというか……
使い方が豪遊です…。
セレブだ。レベルの低いセレブだ。
デカイ、しかも銀のルピーをぽんと出すものだから……。
初めて見た……200ルピー。
『そんなにお金…』
「こく……お父様がお小遣いにって貰ったんです」
…………凄いとしか良いようが無い。
えーと弓に使う矢は消耗品だし大量に造ることが出来て60ルピーくらいだから……
それに魔物を倒したりたまに草むらで取れるから
200ルピーってだいたいどのくらいの価値があるんだろ……。しばらくそれを考えながら店を回った。
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