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無銭飲食騒動





周りに誰もいなくなってからもしばらく動けなかった……。
恐怖で足がすくんで動けなかった。
純粋なる恐怖。そんな思考が頭を巡る。



"あんなもの"に自分はリンクを挑ませるの……?



さっさと忘れてしまおうと先ほどの出来事を振り払って無理矢理立ち上がり路地裏を抜けた。

俯いて先ほどのことを考えたまま市場へ、一番騒いでいる場所へと入る。
言葉通り、人を掻き分けながら少しずつ進んでいく。



『すいませんちょーっと通りまーす……』



人と人の隙間をくぐり抜けてリンクに近付く。
なんでこんなことになったのか知らないけど尻拭いなんてしたか無いよ。けど、人だかりの中心で騒いでた大人達が急に静かになった。

何かあったんじゃないかと無理矢理でも人を押し退けてリンクの元へと向かった。



『リンク!!リンクッ!!』

「姉ちゃん!!」



リンクはぱぁっ、と顔を明るくし此方に寄ってきた。



『大丈夫?何があったの?』

《それがリンク、お金を払わずに物を食べちゃってね……》


何やら無銭飲食をしたらしく店の人から本当にコキリの翡翠を取られそうになったとか……。さすが勇者……。ある意味それも勇気がいるか。

一瞬過った最悪な考えを打ち消してため息を吐きながら笑った。


『あちゃー、はぁ……せめてお金の使い方を教えてあげれば良かったか……。

たっくもう、心配しただろ』

「ごめんなさい……」


しゅん……とにわかに耳を下げて謝るリンク。ん?もちろん許すに決まってるじゃないか。当たり前だろ?←

可愛いからね!



勿論迷惑掛けたお店の人にも謝ろうと向かったが、何故だかとても良い笑顔で速攻許してくれた。

??

何でだろう。



《なんか不純な許し方な気がするけど………。
あのね、この子が助けてくれたの》



ナビィがふよふよと飛んでった先には可憐な少女がいた。
清楚な薄いピンクのワンピースを着こんだ少女はふわりとした微笑みを向けた。



『(なんだろ……何か見覚えが)ごめんね迷惑かけちゃって。
リンクのこと、ありがとうね』

「ううん、良いんです」

《それで、助けた代わりに一緒に遊んで欲しいんだって》



他の人とは違い、珍しい妖精を連れた緑と赤の似たような変な格好をしたのと一緒に遊びたいだなんて物好きだなぁ……。

と思ったが、それで良いんならと快くOKした。
まぁお金を返すにしても持ってる額は少ないし……それこそ雀の涙…。

たまに魔物が持ってたりカラスの巣からくすねたりしてるんだけどね。
ふへへ。


とりあえずここでは目立つから人の群れから放れて隅の方へと向かった。



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あきゅろす。
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