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小さな子供





『ご、ごめんなさい……!!』



足をきちんと揃え正座し両手の親指、人差し指、中指を地面につけ頭を深く下げる。
これぞ日本流謝罪の仕方。
…………多分。

子供は苦手な部類に入るが
いたぶる趣味は無い。
びっくりした。こんな所に子供がいるとは思わなかった。

相手の顔はまだ見てないが例えぎりぎり止めていたにしろ赤くなっているだろう………!ホントマジで穴に入りたい!
頭を隠したい!
いっそ自分の手で穴を掘って隠すか……!



「だ、大丈夫だよ。
だから顔をあげてよお姉ちゃん」

『本当にごめ……ん?』



目の前に映ったものを見て目を丸くした。

幼児特有の細く柔らかい綺麗な髪の毛。それも金髪。
そして西洋人形のような青い澄んだ瞳。
どちらも自分にとって珍しいものだったけど、更に目がいったのは耳だった。



『(長い、……耳?飾りもの…じゃないか)』



童話の様だ。森に住む妖精やエルフみたい。まるで不思議な世界へ入り込む少女になった気分だ。しかし目を擦ってもいたくなるだけで実物のようだ。どうなったらそんなに長くなるんだろう。
悪いと思ってるが食い入る様に見つめてしまい、多少居心地悪そうにしていた少年が口を開いた。



「この森に住んでる人じゃ無いよね?」

『うん……』

「もしかして外……の人?」

『うーん……さぁ』

「さぁって……」



ぽかんとしながらの受け答え。

夢、なのかも。この白い光もこの少年も。
はっとして弱冠前に傾いていた体を元に戻しておく。
唯一変わっていないのは周りの自然と今座っている切り株、と荷物と自分。そして描きかけの絵。しかし、この少年何処かで見たことある格好だなぁ。うん、かなりあるよ。



「聞いたんだ。この森は外からは絶対入れないんだって。お姉ちゃんよく入れたね。
入ったら最後だとかって聞いたけど」



それ最後じゃなくて最期だね…。

夢なら早く覚めないかな……絵を描かせて…絵………。今日中完成!て言われてんだ……。
切り株の上に置いてある荷物を見遣りながら話を聞く。


「何しにここへ?」

『…あぁ、…一応絵を描いてたんだ』

「へぇ……描きに来たって此処、迷いの森なのによく迷わなかったね〜」

『だから迷わないって………って迷いの森?なにそれ』



のほほんと言われた言葉。迷いの森?
ゲームかなんかか此処は。そんなゲームの中でしか聞かない単語。
迷いの森って………。まさか。怪訝な顔に気付いた少年。



「あ、迷いの森しらないの?迷いの森ってのは……」



その言葉にピン、ときた自分は脳内に出てきた設定であるはずの文章が勝手に口から出ていた。



『……たしか、コキリ族を守る為にあり外から来た者は入ったら一生…出られなくなり、やがて…はスタルキッドになる……ていう…………』



説明してく内に青白くなってゆく無表情であろう顔、無理矢理表情を元に戻した。今自分が陥ってる状況がまさにそれだ。
どうやって帰るんだ。
いや、帰れるのか。今いるのは神隠しがあった山で迷いの森だなんていう場所だぞ?

…いやいや、別にこれは夢………本当に夢、なのか?



「そう、よく知ってるねお姉ちゃん」



話してみると当たっていた様だ。ハッとして目の前の子供に目を見開く。
よく見ればこの少年の姿…………………。

もしくはこの子がそういうごっこ遊びしてるとか。でもそれだと耳のことは……?このふよふよと舞う光は?

どうしたの?と動く唇や、ぱちくりと閉じたり開いたりする瞳を見ても
疑ってしまう他無かった。





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あきゅろす。
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