出発
『ふふ、ミド……ほんと素直じゃないなぁ』
「るせっ!!お前だって泣きそうな顔してるくせに!!」
『違うよ、これは汗だよ』
「目から汗が出るか!!早く行けよ!!
デクの樹サマの約束破る気かよ!!」
『………ん、じゃ、バイバイ…』
鼻を啜り、
穴へ向かって走りリンクを追う。外に通じる穴へ入る直前、ミドの大きな声が聞こえた。
「ユキセ!!!!
オレにも話聞かせろよな!!外の話!!絶対だぞ!!」
『……ぷっ、あははっ!!とびきりのを聞かせたる!!』
ミド、次に会ったら本当に一緒に遊べそうだなと思い想像したら自然に笑みが溢れた。
橋へとたどり着くとリンクとサリアがいた。
見慣れたツーショットだ。途中サリアが居ないと思ったらやっぱり此処にいたのか。
「ユキセ!」
『サリアちゃん』
こっちを向くと一変、ぷくぅっと頬を膨らませて可愛……何やら怒っているみたいだ。
……えっ何かやらかしましたか。
「ユキセ……リチェとかにはちゃんなんて付けて無いのにサリアにだけは付けるのね」
あ、そんなこと……なんて言ったら怒られそうだ。
いや、あの序列というか何と言うか……。
何となくなんだけど……。
『あ、うん。ごめんサリアちゃん……』
「……」ニコニコ
やばい。笑顔が怖い。
『えー、えーとサリアちゃ……あ』
「なぁーにー?」
やべ、また間違えた。
まぁなんと素晴らしい笑顔。
もう目背けられないよ背けたらそこでやり直しのきかないゲームオーバーだよこれ………!!
『え、えーと…ゴホン、…サリア』
「はい、これ」
『ありがとう………て、え?』
目に映るのは渡されたのはオカリナ。
見ればリンクも手にしていた。
「サリアの歌、覚えてる?」
『え、うん』
あの軽快なリズム感が好きだから覚えてる。
「サリア、ユキセに合う様に作ったの。
ユキセはきっとオカリナ吹けないからリンクが教えてあげて?
たまには二人で吹いて思い出して。
……きっとこの森にも聞こえてくる筈だから」
「……うん!」
「ユキセもさぼっちゃ駄目だからね」
『分かってるって』
「……じゃあね」
消えそうなくらいか細い声で、でもしっかりと笑顔をなくさずにぎゅっと手を握りしめた。
『うん、ありがとうサリア』
じゃあ、行ってきます。
ありがとう、私を受け入れてくれて。
いつか、また会えたらを願うからさよならは言わない。
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