お騒がせ
コキリの森の地下に流れている川の水が滲み出しているらしく、ここら一帯は水が溢れていた。
しかしそんなに水位は無くて肩が浸かるか浸からないかぐらいの深さだった。
それでも溺れかけたけどね。
『……ちゃんとツタがあるのに』
「まあそこらへんがミドらしいよ」
『ね』
「うるせぇ!!ヘ、ヘアックショイ!!!」
どうやら私達の事が心配だったらしく(本人は断固拒否してるけど)探したらしい剣を握ってこっちまで来てくれたらしい。
「べ、別におお前らのためじゃないからな!リリリーダーの俺が行かなきゃ奴をたたた倒せないきゃらな!!」
寒さでところどころ咬みまくっている上に格好悪いのである。
『(これが世に言うツンデレか…)はいはい…とりあえずミドも同行させる?』
「うん、一人じゃ何しでかすかわからないし」
君も言うようになったね、リンク。
ミドが 仲間に なった!(チャララ〜♪
今からゴーマと戦いに挑むのに、軽快な音楽とテロップが流れそうな空気だ。
それはさておき、
この先進めそうなところは目と鼻の先にある巨大な根っこが絡み合った先の向こう。
仄かに外の月の明かりでだろう光が先を照らしていた。
真っ暗闇の向こうからまるで呼吸をしているかのように妖しい風が流れて行きづらい感じがした。
「うぇぇ…生温けぇ風……」
《……早く乾くから風邪引かなくて良いんじゃない?》
そういう問題か。
ナビィとミドの妖精の強い光のお陰で何とか周りを見渡せる状況だ。
デクの樹の中は広く、硬い根っこのお陰だろう、崩れた跡は無かった。時間をかけて少しずつ根っこが下に伸びたからだと思う。
「無理すんなよミド」
「るせぇっ!!」
背後では二人が言い争っていた。まぁミドが一方的に喋っているだけだけど。
「おめぇだけサリアにいいカッコさせねぇぞ!」
と、ミドはリンクに威嚇するが残念、リンクと会話のキャッチボールが上手に出来てなかった。寧ろドッチボール。
ミドはサリアのことが好きらしい。惚れた弱みで尻に敷かれそうなタイプだ。
その後に蜘蛛の巣に勝手に引っ掛かって身動きが取れない状況に勝手に陥ってた。
勝手にキレて勝手に自滅するタイプだ。
『大変だろうね……あのパートナーは』
ミドの妖精に話しかけると「情けない」とでも言うような感じで羽根が垂れ下がっていた。
ため息でも吐いている事だろう。
うん、自分だったら家出するかな。
今もなおミドの会話の内容にハテナを飛ばしてるリンクも実は天然の鈍い方か?
《シッ…………変な音がする》
ナビィがそう呟くのを聞いて皆静かになった(ミドしか騒いでないけど)
耳を澄ますとシャコシャコと何かを削り取る音とボリボリといった砕く音が聞こえた。
そう、まるで何かを食べてる様な………。
ごくり、と生唾を飲んでナビィがゆっくりと音の元凶であるソレに近くと、ナビィの光によって黒い蠍のような蜘蛛のような姿が見えた。
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