デクの樹サマの中
「わぁ!!」
頭上から魔物が落ちてくるのにリンクは驚いてパチンコを乱発した。
紛れで玉が魔物に当たり、魔物は消滅した。
《気をつけて》
「う、うん…………」
ゴーマは至るところに出産……卵を産みつけているらしい。気配を察知したら直ぐさま卵が返り、襲ってくる。ゴーマは雌なんだろうか、それとも雌雄同体?
人為的な空間の中、梯子を上り上を目指した。ところどころにスタルチュラが邪魔をして、簡単には前に行けなかったが
やっとのことで天辺までたどり着く。
『うわっと……』
人一人ぐらいなら乗っても平気そうな枝に乗り(ミシミシいうけど)、下を見た。ちょうど下にあの太い蜘蛛の糸の巣があり、此処から飛び込めばそれが破けてその下に行けそうだ。
けれど恐くてその勇気はない。
『高いなァ……』
ぼやくと後ろからリンクが自分にならって見る。
こわ…と溢していた。今、枝にいるのは標準体重より少々高……ごほん、自分とリンク。ここで大きく動けば枝がボキリ、とすぐに落ちていくだろう。
そんなフラグが立っている様な気がする。
『あ〜……リンク少し動かないで欲しいかなぁ〜』
聞いてくれれば嬉しかったが………。
「え?」
その時既に身体が傾いて枝を揺らしまくっていたリンク君。枝は限界だとでも自分に訴えるようにミシッミシシ……と不安が増加する音を立てて最終的にはバキッという良い音を立ててくれた。
「え……!?」
『……』
ああ、落ちる……。
どうせならバンジージャンプに慣れておくべきだったかなぁ。固定もされていない上に一歩間違えたら即死乙だけど。
枝とリンク一緒にまっ逆さまに落ちた。
『ひぃいいいい!!!』
「うわあああ!!!」
《ユキセ!?リンク!?》
スローモーションの様にゆっくり落ちていく感じがし、臓物が浮いてる感覚が気持ち悪い!おぇ!
《リンクー!!ユキセー!!》
小さな妖精が必死に追いつこうと羽をばたつかせて急降下してるのが目に入った。
全速力過ぎて蝿みたいになってる。
リンクが下の蜘蛛の巣の範囲からずれそうだったから手を掴み引き寄せた。それを考える余裕はまだ1ミリ程あったようだ。
『ッ!!!』
背中から巣にぶつかったが、勢い良く当たった為に少し息が詰まり痛めた。痛い。
二人分の体重に耐えられ無かった糸は破れ、そのまま更に落下した。
バシャアアアン!!!
そのあと水の中に落ちた衝撃か、眼鏡が外れた。
視界がさらに一気にぼやける。
しかも動けないときたものだから一大事だ。
水に脊椎を打ったみたいで身体が痛んだ。水の中は抵抗感があるため、身体も思うように動かなく何も出来ずに溺れていくしかない。
駄目かもしれないと思ったとき、視界に青以外に金色が映った。
「○△※×%!」
ごめんなに言っているか分かんない。
誰か翻訳蒟蒻プリーズ。
手をこちらに差し出す彼はきっと手を掴めと言いたいんだろう。リンクの小さな手を掴んで水面へと脚を動かした。
少々身体をゴキゴキ動かして骨を正常な位置に戻さないと痛いままかもしれない……。
あいたたたた。
『ぷはっ……うへぇ〜……』
「っふぅ〜。姉ちゃん浮いてこないんだから心配したんだよ?」
少し頬を膨らませて此方を見る。少し理不尽。こっちもいろいろと苦労したんだって。骨とか眼鏡とか骨。
しょうがないのでリンクに眼鏡を探してもらい、陸に上がってびしょ濡れの体をどうしようかと考えた。
『…………』
《…いくら妖精でも乾かす力はないわヨ》
『ちぇっ』
「………?
何か声が聞こえない?」
こちらに眼鏡を渡してくれ、しばらく
落ちてきた方を見てたリンクが聞いてきた。
しかし、特に何も聞こえな…………
「うひょわああああ!!!」
……聞こえた。
バシャアアアンッッ!!
派手な音を立てて水の中に落ち、幾分か水分が落ちて乾き始めたかな〜と思った服をまたびしょ濡れにされた。
今度はナビィもびしょびしょだ。
《……私もそんな力が欲しいわ》
『……そうだね』
そのまま溺れてくれないかな。
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