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大樹の異変





『リンク』



異変が起こったデクの樹。そこにはコキリの皆が集まっていた。
既にリンク達の騒ぎに異変を察知して大方集まっていたようだ。



「ユキセ!これは一体………」

「姉ちゃん!!
どうしようデクの樹サマ返事が無い!!!」



触ってみるととデクの樹は以前よりも冷たくリンクの言う通り、何度声をかけても何も応えなかった。
思わず眉を寄せる。
呪いの侵行が進んだようだ。



「ねぇ、外の世界にデクの樹サマを治す方法はないの!?」



腕を強く握り締めてきてすがる目でこちらを見るリンク。
植物が受ける病気は人間のように簡単に治ることはない。
況してや、デクの樹のような特殊な樹は何も出来ない……。



『……ごめん』

「そんな……ッ」



リンクの表情が絶望に染まり掛けたとき、何処かから声が聞こえた。



――クク………。



『………?』



何やら音がした。
リンクが近寄ると傍のデクの樹身体からいきなり鎌のような爪が突き出てきた。


『わあぁッ!?』

「何あれ!?」



慌ててリンクを後ろへ庇い、カッターの刃の部分を勢いよく出し鎌へ向けて突きつける。

鎌が突き出たところから穴が開いて、蠍の様な、蜘蛛の様なデカイ目が特徴の奇怪なものが現れた。



(ゴーマだ………)



普段森の中に入ってこない魔物にコキリの皆が怯えている。
今こんな所で攻撃でもされたら皆にも被害が出るだろう。

ギョロギョロと大きな目玉でゴーマは回りを見回した。

来るか……!?





「石…、、……石はドコだ…、…キキ……石を寄越せ…」

「い、いし……?」



リンクが眉をひそめる。

どうやら石を探してるだけのようで自分達には見もしなかった。ゴーマはデクの樹に穴を空けたまま、姿を消した。



『中、入れそう…』



誰かから松明を借りて、中を照らせば先が見えない空洞が続いているのが確認できた。



「え?い、行くの?」



リンクは先程の魔物に怯えてるが、行かないとデクの樹は助けられない。
その言葉に敢えて返答せずに震える足をわざと暗闇の中へ踏み出した。
周りを松明で見て魔物がいないか警戒しながら少しずつ歩く。
自分の後ろをリンクもついてきた。



「蜘蛛の巣がいっぱい………」



この大広間は大体原作と同じ感じの空間だった。
薄暗く、松明の明かりを頼りに目を凝らせば見えるくらい。
原作の記憶なんて数年も前のもの。
粗筋は大体覚えているけど細かくは覚えていない。

………樹の中が空洞って危ないんじゃないか?
それともコキリ族の避難所に使うのか?此処。
とにかく、デクの樹があの状態だ。リンクは自分が守らないと。



『リンク、絶対に離れちゃ駄目だよ』

「う、うん」



リンクと決して離さないよう手を繋いで辺りを見回した。
地面から草が生えてると思ったらデクババの頭が出てきてこちらに襲いかかってきたりした。
なんでナチュラルにデクババがいるんだし。




《見て!地面に穴があるヨ!》



ナビィが向かった所には本来ボス部屋へと続く穴。
だけどこちらを警戒してか、頑丈な蜘蛛の巣が立ち塞がってそれが邪魔で行けない。



辺りを探すと
上へと続く梯子を見つけた。


(………なんであるんだろ)



ていうかご丁寧に梯子がある事がおかしい…。




なんだろう、目の前の罠を罠と解っておきながら敢えてそれに突っ込んでる気がした。



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あきゅろす。
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