恐い夢
* * * *
最近変な夢を見る。
毎日ずっと同じような夢。
もしかしたらデクの樹サマよりも大きいかも知れない建物が目の前にいて、真っ赤だった。
夢だから熱さは感じないけど燃えているんだろう。
空は真っ暗だった。
何か悪い奴が来るみたいに。
デクの樹サマが話すおとぎ話はいつもそういう時に決まって悪い奴がくる。
周りにはデクの樹サマもコキリの皆も姉ちゃんも居なくて、怖かった。
まるで一人ぼっちで。
恐くて寂しくて、姉ちゃんに起こされた後涙が出て止まんなかった。
そんなオレを慰めてくれた後、姉ちゃんは
「繰り返す夢はきっと意味がある」
って言っていた。
意味って何?って
聞いたけど少し曖昧で悲しそうな顔でわからない、って言ってその後ごめんねと謝った。
何で謝るんだろ。
姉ちゃんが悪い訳じゃないのに。
いつもはそれでおしまい。
それで終わり。
……の筈だったんだ。
今日見た夢は何時もとは違った。
場所は同じだけどオレ以外に目の前に何かいた。
真っ黒い。
恐い物を全て混ぜ込んだような色。
目が真っ赤で、体ぜんぶが黒いからそれがとても目立つ。
いきなりそいつはこっちへ襲って来て、持っていた剣で対抗したけど、大きすぎて全然駄目だった。
そしてそいつが鋭い爪を持った手を振り上げたところで夢は終わった。
思い出したくないから姉ちゃんには黒い羽根としか言っていない夢。
あまり心配かけたくないから。
……変なコだと思われてしまうのは嫌だから。
姉ちゃんから貰った糸を巻き付けた小さな蜘蛛の巣の様な飾りを貰って寝たら不思議とあまり怖い夢は見なくなった。
最初はすがる気持ち半分、本当かなって効果を疑ってたけど。
本当に効果があるかもしれない。
その後、気になったあの大きな建物について姉ちゃんとデクの樹サマに聞いた。
あれは“城”というものみたいで偉い人たちがあの中で暮らすみたい。
偉い人たちっていうのは何なのか聞いて見ると、
一番上に王という人がいて、
王の奥さんが女王、
その二人の子供を女の子なら王女、男の子なら王子っていうらしい。
聞いててぶっちゃけ意味が分かんなかったけどそんな人たちがいる外の世界に行きたいという気持ちがまた大きくなった。
いつか本当に外の世界に行ける日があったら良いなぁ。
* * * *
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