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眠れない夜





「…ん…ううーん…」



最近、夜中にリンクが魘れていた。
敏感なのかその度に苦しそうに魘される声に自分は起きてしまう。
それのせいか自分も最近寝付きが悪い。




『リーンク、リンクー?』




リンクのベッドの側に寄って起こすのも日課になりそうだ……と思いながら揺さぶり起こすと、バッと勢いよく起き上がった。

汗がしとどに流れておりそうとう怖かったのだろう、
涙が溢れてるのが裸眼でも分かった。



「ねっ……姉ちゃん…」


『煩くて眠れない』


「ひどっ!」


『冗談。うなされてたけど…』


「(冗談に聞こえない…)
あ……また嫌な夢見て………」



きっと予知夢みたいなものだろうか。
「最近同じ夢を見る」と話していた。
しかし内容はきいてないのでどういうものか分からなかった。おそらく舞台はハイラル城なのだろうけど。



『……どんな夢?』

「ん………えと、前までよく分かんなかったけど、空が真っ黒に覆われてて、尖んがった屋根がいくつもついたものすごくでっかい家の前に立っててさ………

でかい馬に乗った人が俺の前を通り過ぎてくんだ。
そんで、場面が変わって、目の前に黒い羽根……が生えた真っ黒の変なのがいて俺に向かってくるんだ………」


『羽根……真っ黒の……?』



聞き覚えの無いもの。

リンクの悪夢の回想に羽根なんてものは現れなかった。
原作の話だけど。



「よくわかんなくて………」

『…そっか、……あ、そうだ』



バッグの中をごそごそと漁る。
小銭入れと携帯と少しのお菓子類しか入っていない。病院帰りだったから。

携帯に付いてた飾りをとりリンクに渡した。



「何これ?」

『悪夢を見なくなるおまじない。蜘蛛の巣みたいでしょ?それが悪夢をとってくれるっていうやつだよ』



インディアンが作っていたというドリームキャッチャー。

柔らかい枝で小さな円を作り、糸を円の中に蜘蛛の巣状に絡み合うようにし、中央に梟の羽根とどんぐりをつけたのがそうだけど、
携帯に付けてるのはもう少し装飾が施してあって丈夫な造りの物だ。

ただの飾りとして買ったけれど別に夢見が悪い訳でもないのでリンクにあげよう。

それをリンクのベッドに引っかける。

果たしてそれで予知夢である悪夢が消えてくれるとは限らないけど。

それをあげてバッグを元の位置に戻し、寝床につくと小さくありがとうと聞こえた。

それにしても黒い羽根……。

自分じゃないことは確かだけど一体なんなんだろう。

原作なら羽根を抜かした夢だが、もしかして未来が変わった?


いろいろとその正体を考えたが、
やがて小さな寝息が聞こえたので考えるのを止めて自分も毛布を被って寝た。



翌日、意外とすっきりした顔のリンクの顔を見てほっとした。


『どう?効いた?』


「うん!!だいぶすっきりして寝れた!!」



ニカッと笑いながら話すリンク。

要は気の持ち様じゃないかと思う。



「でさ、あの大きな建物はなに?すっげぇデカイの!!」



夢に出てきた城について聞いてきてまた外の世界に想いを馳せるリンクを見て飽きないなぁと苦笑した。





……リンクが予知夢を見るようになった……ということはあと少しでコキリの森に、リンクに危機が迫る。

ここにいる以上自分は巻き込まれるだろう。
自分は大丈夫だろうか。
いっそのこと、逃げてしまおうか?

その未来に不安を感じて、待つことしか出来ない自分に無力を感じつつも、身の保身を考えてる自分に嫌気がさした。



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