可愛い子にはトゲがある
『ふぁあ………』
太陽がこれから昇る頃、目を覚ました。
携帯を見れば時間的に4時くらい。まだ来たばかりで慣れない環境だから早く起きてしまったみたいだ。旅行の時みたい。
床で寝てたので背中が少々痛い。
いつもベッドで寝ていたからだと思う。リンクはまだ布団を蹴り落として寝ていた。
朝だからか森の中はひんやりとしていて少し肌寒かった。
少々冷え症なので手足は冷えていた。
この世界にも季節というものはあるだろうか。
コキリの森みたいな小さな世界には雪など寒い他ないだろう。
コキリ族にとっては寒すぎるだろうし。服装的にも。
意外とデクの樹の力で寒さなど感じないかも知れない。
この隔絶された森の中なら。
とりあえず昼頃に歩いている途中、サリアに会った。
「こんにちはユキセ、リンク。あれ?ユキセ服装変わってるね」
『う、うん』
「リカとリチェに作ってもらったんだね!似合ってるよ」
そう褒めてくれたサリアに多少照れながらもありがとうと礼を言った。
「これからどうする?」
リンクが聞く。
『んー、今は何もやることがないかな……』
案内も昨日してくれたし、デクの樹の言う修行というのは見聞を広める為だと誤魔化してるから何かをするとかしなきゃいけないというのは特にない。
「ならデクの樹サマのとこで今お話がやってるよ」
「じゃあ行こう!」
所詮暇つぶしだし二人に着いていった。
* * * *
「サリアはいいけど他はいれねぇぞ!」
立ち塞がったのはミドにくっついてる二人。
ミドとその面子と仲が悪いのは原作でもそうなんだ。ソレの根本であるこの世界もそうだろう。
つか逆に優しいミドは気持ち悪い。
「何勝手なこと言ってんだ!」
「そうよ!何ワケわからないこと言ってるの!潰すわよ!」
サリアさん一体何を潰すんですか。
二人の気迫にたじろぐミドの手下達。
「よ、妖精なしのくせに!お前も何とか言えよ!!」
「ぁああああ!!」
突然大声を出しながら自分に指を指されてびっくりした。
な、なに!?
「どっかで見たことあると思ったら迷いの森で会ったのジャン!暗くて分かんなかったけど!」
「そうなの?」
『ま、まぁ……』
「見たことあるなぁって思ったぜ〜……」
と、あの前髪がやたらに長い少年がしみじみと思ってると太ましい少年が現実に戻す。
「おい!リーダーに妖精なしとよそ者は入れちゃダメだって言われただろ!」
「んだよ文句あっか!」
やがて男子3人で取っ組み合いの喧嘩になる。
普通の取っ組み合いに終わるかなと思ったけれど、殴る蹴るの本格的なものになりそうだとそろそろ止めさせようと思った時、
サリアがふぅとため息を吐く。
「結局こうなるのね……、ちょっと絞めてくるからユキセ待っててね?」
『うん……うん?』
なんかサリアの口から笑顔が似合わない言葉が聞こえたような……。
サリアの変化にいち早く気づいたらリンクが素早い速さで取っ組み合いから抜け出した。
「さ、サリアちょっと姉ちゃんもとめ……
「リンク、ちょっと黙ってね」
……はい」
……リンクは直ぐに黙った。
やばい、黒だ。
この子、腹に黒いの飼ってる。
「さて、さっそくミドを呼んできてくれるよね?」
後に聞いたがリンクの家にあったあの薬はサリアが作ったものらしい。
……一体あの薬は何の効果があるのだろう。
結局デクの樹の話を聞くことは無かった。
どんな話か気になったんだけどなぁ。
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