ふたご姉妹
「そっか…姉ちゃんの寝る所どうしようか」
リンクの家にはベッドが一つ。
リンクは寝れるが自分は狭くて寝れないし。
別に平たいとこなら何処でもいいけどと言ったら即却下された。
なのでリンクとともにコキリのお裁縫所と言われてるらしい双子姉妹がいる家を訪ねた。
そんな子達がいたのか。
「いらっしゃい、私はリチェ」
「私はリカ」
「ミドと違って私達は歓迎してるよ。で、あらかた寝る毛布が無い、てところかな?」
『そ、そうなんだけど……』
リチェが言わずとも来た理由を言い当てた。
エスパーか。
言葉が途切れるほど部屋の中が凄かった。様々な色の布が所狭しにあるのである。
何処から調達したのだろうか。
「そうだなぁ」
「お姉さんが私達のお願い聞いてくれるならタダであげる」
お願い……、外に出してとかは無理だけど。それに頷くと双子はにんまりとした顔で……。
「「じゃあちょっとこっちに!」」
ニッコリと笑った後、悪魔の笑みを垣間見たような気がして反射で逃げようと思ったら、
「「………」」ガシッ
『…………』
逃げられず二人に両手を引っ張られていく。
「リンクはそこで待っててね」
「え、」
「さぁお姉さんこっち来て!」
『え、ちょっ、ま……』
* * * *
〜10分経過〜
『……………』
「(わぁ……、凄い魂の抜けた顔……)」
「お姉さん楽しみにしててね」
「明日には渡すから♪」
何があったかというと脱がされそうになった揚げ句、色々と何かを測られた。
一体何をしたんだろうか…。
どうみても服のサイズ?いやまさかね。
「ハイ毛布。大きめだから余裕だヨ」
「ただでかく作りすぎたんだけどね」
渡された毛布は二人余裕に入りそうな位大きい物だった。
ソレとそれより小さめの毛布。
これで寝床は確保、か。
『ありがとね』
「「こちらこそお姉さん」」
……ちょっと双子が苦手になりそうだ。
双子は何でハモる確率が高いんだろう。
大荷物を抱えてよろよろと歩く。
さて、……これで、どうやって梯子を登るか。
その後リンクがロープ(蔓?)を持ってきてそれを毛布に巻き付けて上に上げた。
これで自分は寝れる。リンクは色んな所で機転が利くなぁ。
尊敬するよ。
木の実などを食べ、腹を膨らせたあと毛布を被って眠った。
幼い頃やったお泊り会を思い出した。
* * * *
「昨日ぶりお姉さん」
「約束通り今日渡したい物があるからこっち来て」
再び双子の所へ訪れた。
ちなみに結わいてる髪型の方をリチェ、カチューシャをしている方をリカと区別してる。
例外なく双子の彼女達は顔だけでは見分けがつかない。
「ハイ、これ」
『……服?』
まさかと思いつつも綺麗に折り畳まれた布を両手でもって広げてみれば
コキリ族の服装によく似た紅色のワンピースだった。
しっかりと縫われたそれはシンプル且つお洒落でVネックの部分には紐が交差するよう編み込まれてて他にも長袖で腰にベルトを通せる部分も付いていた。
うわぁ……、素直に感動。
この子達の腕はプロ級だった。
ワンピースは嬉しいが自分は下がスースーするものはあまり履かない。下はジーパンを履いたままにした。
それに関して二人は多少不満を感じていたが諦めて貰った。
その他にもベルトとブーツを貰った。
「似合うわお姉さん」
「でも何か足りないわ……そういえばあれもあったわねリカ」
「あぁ、あれもいいわね」
もう一度仕切りの向こうへ追いやられ、
Yシャツのような……というかほぼYシャツも着せられた。
何であるの。
『あ…ありがとう。ホントになんのお礼をすれば良いのか……』
「お礼はいいよ。何か作らないと腕が鈍っちゃうから♪」
「服を作るの楽しいし、服を着てくれると嬉しいしね♪」
すぐ汚す男達は嫌だけどと双子が合わせて言うとリンクは気まずい顔をした。
自覚はあるらしい。少し苦笑。
(おおかたミドと喧嘩したり遊んだりだろうね)
(何で解んの!?)
(……まぁ、知ってる…し。んで見て解るし。仲悪そうなの)
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