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サリアの予感





とりあえず話はまた今度として、

リンクは何処かへと出掛けてしまい今はいない。

なのでサリアと二人きりになった。


「ごめんねユキセ。ミドが言うことなんて気にしないで」



倒木に座り、少し俯きながら謝るサリア。

自分も隣に座らせてもらい、両手を横に振りながら大丈夫だと話す。



「ミド、口だけは達者で単純思考なだけなの。……あとでちゃんとお仕置きしなくちゃ」



あ、あれ?なんだかサリアが黒く見えるな。

きっと気のせいだ。うん。



『い、いいよ、大丈夫大丈夫。あのミド君が言うことも分かるし。

……あの禁断の森と謡われたコキリの森に入れてスタルキッドに
ならないのが異常なんだもん。怪しむ方が普通だって』



何人たりとも外の人間の侵入を拒み、人を魔物に変えた魔の森。

正面から入ってはいないとはいえ、迷いの森の領域に入ってしまった自分。

けれど、一向に魔物に変化せず二度も訪れてもその予兆は来なかった。

デクの樹は一体何を考えているのだろうか。


「コキリ族はこの森に護られてるの。

そしてこの森の中でしか生きられない。

けれどみんな外の世界に興味がない訳じゃないの。
誰も外の世界を知らない。

だからかな……、リンクは誰よりも一番外に出たいって思ってる」

『……サリアちゃんはそのことをどう思ってるの?』



サリアは曖昧に笑う。



「リンクはね、ちょっと不思議な感じがするの。
何をしても出来ちゃうし。
だからきっと外に出られるんじゃないかなって、最近思うの」

『……そうだね』



コキリのみんなとは何処か違う雰囲気を持った男の子。
チャンバラではミドには負けないんだよとサリアは笑う。



「コキリ族は一人に一匹の妖精をパートナーに持つの。けれど何故かリンクはその妖精がいない。

そこにユキセが現れた。

きっとね、これからこの森全体に何か変化がある……そう感じる」



立ち上がりくるりと、綺麗に回転しながらニッコリ微笑む。

サリアの妖精も彼女の気持ちを察したかのように周りをくるくる回る。



『だからね、私、ユキセが来てくれて嬉しいんだ』



なにこの可愛いの。

落ち込んでた自分を勇気づけてくれてこちらも自然と笑みが戻ってく。



『ありがとう、サリアちゃん』



お陰で元気が出た、と話せばまたにっこり微笑んだ。



「あーでもやっぱりムカつくからミドをどう料理しようか考えなくちゃ!」

『え、料理?』


料理て何のことか聞こうとしたがにっこり笑って何でもないの!っと言われた。

可愛い、可愛いけどなんだか恐いよサリア。





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あきゅろす。
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