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コキリ族





「まずは皆に挨拶だね」



コキリの森へ続く道を歩く。
構成的にコキリの森の周り一体が迷いの森になっており、切り株がある場所はその中。デクの樹に近い場所にある。

要は人気を気にせず行けるので顔はまだ見せていない。



「あ、サリア!」

「リンクじゃない!
あれ?見かけない顔。だあれ?」



くるっとした髪型と緑の髪が特徴の皆のアイドル、サリアがいた。



「聞いたら驚くよ!なんと外から来たんだ!!」

「本当?凄いよ!皆スタルキッドになっちゃうのに。
きっと森に認められたのね!」


きゃっきゃっとはしゃぐ二人を見てスタルキッドにならなかったのは自分一人だけらしい。
それだけ自分は貴重な存在なのか。
コキリの森は妖精がいるから捕まえようとする輩もいるのかな。


サリアは皆に「外の人が来た」と話し回っていた。

…なんか………見世物状態?

なんだなんだとサリアやリンクと同じ格好をした子達がらわら集まって来た。


「スタルキッドにならなかったの?なんで?」

「デクの樹サマみたいなのは外にもいるの?」

「外ってどういう所?」

「町ってどんな所?人が沢山いるの?」

「外は恐ーい巨人がいるって聞いた事あるぞ!本当?」



みんな好奇心旺盛な目でいろいろと聞いてきた。
子供らしいその遠慮の無さ。
デクの樹サマに聞いただけじゃよくわからないからだろうか。聞いても目で見なければ解らない事もある。
つか中にガセネタ入ってないか?

かと言って私に聞いても見ても直接じゃないし外から来てないから聞かれても、なぁ……ι。

そういえばデクの樹サマの目線てどのくらい高いんだろうか。
ハイラル城が見えるくらいだと聞いた。
でも人の手が加えられてない木々は種類によるが結構背が高い。
ここら一帯の木全てにデクの樹の意思が宿っているのだろうか。



「皆、一度に聞いてしまってはユキセも困っちゃうよ。
一つずつ聞こう?」



流石は皆のアイドル。
お母さんにも思えてきた。



「ごめんね?ユキセ」

『いや、さ。別に大丈夫だから。
気にしないで良いよ』



苦笑いしながら顔の手前で手を振る。
謝る必要はないと。
まず何から話せば良いんだろう……。




ずんずんずんずん、と
音がつきそうなくらい踏ん反り返りながら歩く三人の子どもがこっちに向かってきた。

あんなに偉そうに歩くコキリ族は……まぁ奴らしかいないだろう。
ジャイアニズム丸だしだ。
リンクを見習え。

思いっきり嫌な顔をしてしまった。(勿論見えない所で
ああいうのは嫌い。関わるとロクな事無いの、否応なしに経験済みだし。



「おい!誰だよお前は!」



コキリ族の自称リーダーこと、ミド(と、その他2名
が来た。



「外から来た人よ」と誰かが言う。



「そんなの信じられっか!外から来たヤツはみんなスタルキッドになるんだぞ!」



とミドは返す。

確かに。
スタルキッドか……なっちゃったらもう向こうの皆には会えなくなっちゃうな…。

でも、自分は何故スタルキッドにならないんだろうか。
ちゃんと森の外から来た訳じゃ無いから?
うわ、なんかチートじゃね?



「ミド!」



サリアが怒鳴る。ミドの好き勝手言う言葉に怒ったよう。



「どうしてミドはそういう事ばかり言うの!!」

「だ、だってよ…」

「それにユキセがならないのは森に認められたのからに決まってるじゃない!
森に認められなかった人が……悪人がスタルキッドになってしまうの。
ユキセは………悪人じゃない!」


『!』


「ふ、…ふんだ!
スタルキッドにならないんだったらコイツは一体何なんだよ!
連れて来たのはどうせ妖精無しだろ!
何かあったらお前のせいだからな!」



と、子分を連れて逃げるように行った。

妖精無しじゃない!!とリンクは去っていくミド達に叫んでた。

まあミドの言う事も解らなくは無いなぁ。
自分が此処にいて何が起こるか解らないから。

世界にとって自分は異分子。
バグ。
本来この世界には要らない存在。
だからデクの樹に会うまでスタルキッドにならないのかもしれない。
まぁいつかは帰らなければいけない存在なんだ。いつかは知らないがけど。
そのうち?






(………そのうち、ていつかは知らないけれど)


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あきゅろす。
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