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ようこそ非現実へ





『………………あれ?』



帰れない。
早々最悪な結論が出てしまった。




* * * *




遡るはデクの樹サマと話した時。
あのまま自分はこの異世界へと渡ってしまったわけで、だいぶ夕方だったので一旦でも帰らないといけないのだ。

それにそろそろ帰らないと元の世界に戻れないかも知れないと言われた。

何せ前例がない出来事なのだから。
いつ行き来できなくなってもおかしくはない。

せっかく少しリンクと仲良くなれたかなと思ったけど、
もう離れなければいけないのかと思うと寂しい思いがした。

もともと自分の世界は此処ではない………。あちらには友人達以外にも家族というものがある。帰れないとなると心配させてしまう。
例え………ね。



「もうお帰り。親が心配するじゃろう…」

『……はい』



そう言われ、悲しむからリンクには何も伝えず帰ろうと思ったが、切り株の周りの状況に変化が起きない。
霧ー、霧ー、早く来い来いきりー。



『………うそ…』


どのくらい待っただろうか。たしか一時間くらい待った気がする。
しかしいくら祈っても変化は訪れやしなかった。



* * * *



「うむぅ、遅かったようじゃの………」

『はい………』


溜め息を零す…。
今はデクの樹サマに報告する為また此処に来た。
リンクも一緒だ。



デクの樹サマも慰めてくれた。

頭痛がしたり倒れたり帰れなくなったり散々な一日だ……。


「帰れないって?」



知らないリンクは質問した。
デクの樹サマは誰にも知らせていないようだ。気を使ってくれたらしい。



『……ちょっとお家に帰れなくなっちゃって………』

「え!!!?何で!?」

『……ええと…』



思わず困った顔をする。
何でと申されても……私どもとしては……何とも答えにくい物でして…。

なんかクレームに必死に対応してる社員みたいだ……。
どう言い訳を作ろうか悩んでいたところ、



「ユキセは今、修業の身でな。暫く此処に居るようじゃ」

「本当!?」



嘘八百も良い所だ。なに修業て…。
この狸……樹だけど、デクの樹を睨む。
もう(心の中で)敬称つけてやんない。

しかし口車に合わせるっきゃないらしい………。これで否定したらますます疑われるだろう。


『まぁ………そういう訳なんだ』


「じゃあ俺ん家に住めば良いよ」



嬉しそうな表情でこちらを見つめる。



『………リンクの?』



いいの?とリンクに問う。
疑うとかそういうのではなく、純粋に何故?と。



「だって、困ってたらお互い様でしょ?」

……デクの樹は本当にリンクをしっかりと育てているようだ。リンクなんて良い子なの……!!

リンクが構わないのなら、とお言葉に甘える事にした。

雨をしのげるのならいいや。







友人よ、そちらの世界に居る
家族よ。

そちらに帰れなくなりました。

とにかく、帰る方法を見つけないとなぁ。
“扉を開けて”や“彼方から”みたいに爆発とか扉で帰れるなら良いんだけれど……。

何らかの力を持った人に会わないと無理そうだ。





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あきゅろす。
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