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7年後のカカリコ村






「うわっ!」



ヒュッ、と刃が空気を切る音がして二人の間に短剣が落ちた。大地に突き刺さるそれは当たったら痛いどころじゃ無かっただろう。



『後ろッ!』



同時にリンクが振り向いた先には逆光で見えないが人影が降りてきた。
形からして女性の様だ。




「ガノンドロフの手下か!?」




素早く盾を手に、迫り来る刃を防ぐ。

が、



「おっ、とッ、とと………!?」



あちらの方が威力が強かったのかさっきまで倒れていたからか、庇いきれなかった身体は尻餅を着いた。
やっぱり今のリンクじゃ足止めにはならんか、と考える。

それで終わりなのかリンクを差し置いて今度はこちらに向かって来た。

白い髪に浅黒い肌。
最後に見た時よりだいぶ年老いた顔。

しかし力強い剣戟に少しずつ押されてるのが分かった。
このままだとやられてしまうだろう。
平野的話し合いたいものだけれど……。
不意にリンクをみて閃いた。



リンクからマスターソードを(奪い取る形だが)拝借し骨に響く様な痛みと、反発して離れようとするマスターソードを無理矢理握りトライフォースの模様が見える様に前に突き出した。



「!

その剣は………!」



『俺たちは、敵じゃないですよ』



やっとリンクも奴さんも気付いたらしく7年前に会った顔を見た。



「あなたは……インパさん!」

「7年ぶりだな…………リンク」




* * * * *




目の前でばくばくとがっつくリンクを見て、多少口が引き吊った。

なんという食べっぷり。寧ろあれは咀嚼するよりも飲み込んでいるんじゃないのか。
ちゃんと食べないと胃を悪くするぞ。
そしてそんな食べっぷりにインパまでもが若干引いている。
自分は野菜のサラダと肉や野菜を炒めてそこに炊いた米を入れてかき混ぜて味付けしたもの……所謂チャーハンをぼそぼそと食べていた。

おばさんが「そこの兄ちゃんももっと食べなよ!」と
どんどん料理を作っているが目の前を見て少し食欲が無くなった。



「うっ……」



喉に詰まったらしく他人の水まで引ったくり飲んだ。え、それなんて間接キス?



『……大丈夫か?』

「………ぷはっ!生き返った!」



別の意味にも取れるね、ソレ。
喉に詰まっての生き返ると満腹感での生き返る。……まあいいや。



「そういえば、炎の神殿の邪竜を倒したそうだな」



その話題が出た途端、リンクは食べる手を止めてスプーンを置いた。少し目を伏せる。いつ思い出してもあのあの子の死に顔が脳裏をよぎる。
邪竜か、端から見ればあの暴れっぷりは悪そのものだもんな。


「立派になった……と言いたいところだが、なんだそのだらしなさは!!」



自分も同意の意でインパのその叱咤に頷いた。
自分以外にもこうやって怒ってくれる人がちゃんといるんだな、としみじみ思う。
世界を救うであろう時の勇者だからって遠慮するかと思ってた。
これでは自分はナビィの言う通り母親のようだ。

まあ自分は特殊としてこの世界に独りだし、リンクも同じ身寄りがいないしつい構いたくはなる。
けれど母親じゃなくて兄弟の立ち位置では駄目なんだろうか。






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