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行き倒れ勇者






再びシークと別れて歩く。次は水の神殿だったか……。

その前にカカリコ村へ寄ろう。インパとあそこに逃げた人々の安否が気になった。

今やもう数少ない村の一つなのだろう。生命力の少ない痩せ細った土地では作物も満足に作れなさそうだ。

今いる場所はデスマウンテンの頂上で
岩ばかりの周りは痩せた草が静かに風に揺られる平原、そして緑のない茶色い山々。
うまくここから下って行けば平地に降りられそうだった。
落石とゴロン族が怖い。

デスマウンテンから離れた場所にカカリコ村はあり、落石でカカリコ村へと続く道は閉ざされてしまっていた。別の安全な道から行く羽目になり、かなり遠回りで行かなければいけない。
え?突っ切るなんて、そんな無謀なことはシナイヨ?
もういっそのことデスマウンテンの中に入ってコキリの森に出てしまおうか……とかなんとか考えながら、なんとか脚を滑らせずに降りてハイラル平原に出た。
ここからカカリコ村までどのくらい掛かるだろうか検討付かない。
コキリの森からなら更に掛かる。


目の前の目と鼻の先以上遠くに何やら黒い影とその上にキラキラした光が勢い良く回りに飛んでるのが見えた。
そして何か叫んでる。

あんな平原のど真ん中で倒れるなんては……グェーに食って下さいと言っている様なものだ。



『……まさかね』



影が何となく緑に見えるとか、光がギャーギャー騒いでるのあれナビィじゃね?とか。
時の勇者が行き倒れなんてねー。
ないない。



《リンクー!!ここで死んじゃ駄目ヨー!!誰が埋葬すんのヨー!!》



死ぬ前提か。
そりゃそうだ、妖精に手はないから埋められないわな。
はぁ、と溜め息吐いた。




『なぁ、お前アホだろ』

「う"っ……何も言い返せない」




リンクが気を失っている間、行く場所が同じカカリコ村ということでリンクをおぶさって道を進んだ。
ナビィの話によると、あの後ショックで食べ物も口に通らずそのままハイラル平原を横断しようとしてたらしい。
そしたらこのザマだと。
自分は暫く食べなくともなぜか力が補ってくれるので平気だが時の勇者といえどリンクは生身だ。
ただ見た目は大人、中身は子どもというだけである。
水筒の水を与えたら勢いよく飲み干していった。
後で全身に水でも被せてやろうか。



「あれ……というか、なんで君が」

『行き倒れしてるのを運悪く見つけちゃってね。ここんとこ最近ちゃんと食べてないんだってな』

「うっ………」

『ナビィは妖精だから直接的な食べ物を必要としないけどお前は人間。あのまま俺が通らなければ今頃骨だけ……だったかもしれないな』

「耳が痛い……」

『なら食いたくなくとも食え。(女の自分より)軽い』

《なんかリンクのお母さんみたい》



若いのに子持ちとか嫌だしこんな子供いらんし男だし。

ならお父さんカシラ?とからかうように言うナビィ。
いやいやそういう問題じゃない。



『もうそろそろだから自分で歩け』



疲れたからとリンクを降ろし(落とし)ぶつぶつ文句を言いながら尻をさするリンクを放置し歩いた。
あわててリンクもついて来て隣のポジションについた。



「そういえばソウマって何で旅してんだ?」

『それ聞いてどうすんの?』

「どうするって……どうもしないけどさ」

『なら別にいいんじゃない?』



適当に話を流し、突き放して前を向く。
カカリコ村まではもう少し先だ。



「……なあ何で俺に対してだけ冷たいんだ?」

『そうか?』

「そうだよ!」

『すまんな』

「本当にそう思ってんのかよ……」



ジト目で見てくるのを華麗にスルーし地図を見る。
フロルが何処かから持ってきたものだ。

あと数分といったところか。
ならこの気配も何の意味か分かった。

地図を即座にしまい込み剣の柄に手を置く。



『……お前は気づかないのか?』

「気づかないって……何が?」


きょとんとした顔が幼さが残ってて可愛い……じゃない。
ただ時の勇者としての力を補う為とはいえ、七年間眠らせたままというのも問題だなと危惧した。
旅の途中に野垂れ死なないか心配だ……。



『来てるよ、奴さん』



リンクがその事に気付いたか否か、リンクに向かって刃が振り下ろされた。






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あきゅろす。
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