初恋は桜の中で:番外編
発情期の恋人に突然押し倒されました。/過去拍手文:夏陽×冬乃


 ※ 獣耳ファンタジー:本編とは無関係です。




 季節は若葉芽吹く春。
 キラキラと降り注ぐ陽光が梢を満たし、爽やかな緑風が若葉をサワサワと揺らす。
 今日は朝から雲一つない晴天だ。
 夏陽は「ん〜」と背筋を伸ばし、午後の眠気を体外へ逃がす。
 朗らかな昼下がりはアクビが自然と湧き出てくる。少しでも気を抜いたら森の中でも関係なく眠ってしまいそうだった。

「あ〜あ。冬乃早く来ねぇかな」

 三度目のアクビをふぁ〜と零し、夏陽は恋人の到着を今か今かと待つ。
 今日は冬乃とデートなのだ。
 しかし集合場所は決めていたが、時間は『昼食後』としか決めていなかった。
 そんな詰めの甘さが現在の結果。
 夏陽が森の木陰に腰を下ろして、かれこれ15分が経過していた。

「あんま遅いと、オレ独りで昼寝しちまうぞコノヤロー」

 瞼がウトウト重くなる。昼食後の腹は満腹状態で、肌に感じる気温もポカポカと暖かい。
 そんな夏陽の背後から一つの影がユラリと迫る。

「な〜つ〜ひ〜」

 地を這うような少年の声音が鼓膜をザラリと撫ぜる。

「おうわぁ!?」

 夏陽は反射的に立ち上がり、叫び声を上げた。
 眠気は跡形も無く吹っ飛んだが、代りに恐怖感が競り上がってくる。
 自慢の狼尻尾も警戒心でビンビン。一本残らず総毛立つ。
 まさか気の早い幽霊が迷い出て来たのかと、頭が若干パニック状態だ。

「なんだよ。逃げる事ないだろ?」

 茂みがガサガサと揺れ出し、両手がにゅるりと現れる。
 健康的な肌色。
 細くも太くもない、中間的な肉付き。
 幽霊とは思えない程の生命力が指先まで通っている。
 と、云うか。完全に健康的なヒトの手だ。
 夏陽はバクバクと高鳴る心臓を落着かせ、イソギンチャクのように蠢く両手をマジマジと観察した。
 慣れ親しんだ人物像が茂みの奥と重なる。

「あれ、もしかして。冬乃か?」
「気付くのが遅い」

 冬乃の声が不満を運ぶ。
 夏陽は「ウグッ」と喉を詰まらせ、茂みに近寄った。
 冬乃は夏陽が呼び掛けても身を隠したまま、手だけを出している。

「なぁ、冬乃」

 夏陽は茂みの前で腰を下ろし、冬乃の手を握った。

「怒ってんのか」
「別に。ただ、画策してるだけ」

 そう言うと冬乃は夏陽の手を握り返し、茂みの中へ引っ張り込む。

「へ?」

 気付いた時には、森の梢が天井になっていた。
 背中が固く、冷たい。大地の感触だ。
 緑の匂いも鼻に付く。
 夏陽は茂みの奥で、寝っ転んでいた。

「何、この状況」

 思考が追い付かない。
 投げ出した掌の横で、タンポポが静かに咲いている。
 身体の周りは殆ど、生い茂る雑草に覆われていた。

「何って。俺に襲われてるんだよ、夏陽」

 冬乃が計画の成功に笑む。
 そして夏陽の腹の上へ徐に乗っかった。

「ちょっと待て! コレ役割逆じゃねえ!?」

 状況を理解した夏陽が起き上がろうともがく。

「だったら、俺が行動に移す前に襲えよ。このヘタレ野郎」

 しかし血走った冬乃の眼光がそれを容易に許さない。
 今は丁度、ウルフ族の発情期だった。




発情期の恋人に突然押し倒されました。





「おそっ……ても良かったのか」

 頬が一気に熱くなる。
 夏陽も冬乃同様のウルフ族。季節特有の疼きに、毎晩汗を流していた。
 しかしデリケートな下半身事情を軽々しく口には出来ず、処理は自分自身の手で行っていたのだ。
 同じ状況化に喘ぐ冬乃の痴態を妄想し、頭の中で何度も穢す日々。虚しくも感じたが、止められなかった。
 それがまさか、冬乃側からのアクションで現実になろうとは。
 夏陽は生唾をゴックンと飲み込む。
 心臓もドキドキと早鐘を打ち、鼓膜に響く。

「夏陽……っ」

 冬乃が身を沈め、夏陽の狼耳に唇を寄せる。そのままカプリと甘噛みされた。
 甘い痺れが全身に広がる。

「うわ、冬乃」

 感触を確かめるようにハミハミする冬乃。
 唇を一度離し、今度は舌全体で毛並をなぞる。
 それは一見して、ただのグルーミング。しかし夏陽は冬乃の舌がひらめく度に体温の上昇を感じた。

「どうだよ、夏陽。興奮したか?」

 冬乃が性的なグルーミングを止め、挑発するように問う。

「した。つか、もうヤバイ」

 即答する夏陽。冬乃の背中へも腕を回す。

「なに、出そう?」

 弾む冬乃の息が耳にかかる。
 夏陽はそれにまた、興奮した。

「元気だな、夏陽。流石は思春期&発情期」
「いきなり押し倒した冬乃が言うなよ」

 おかげで夏陽の芯は真っ昼間から臨戦態勢。自宅のベッドまで移動する余裕がない。

「うん……だから俺も同じだよ。夏陽に触って欲しくて、ずっとウズウズしてる」

 冬乃がゆるりと顔を上げる。
 健康的な頬は朱に染まり、眼鏡の奥で揺れる瞳も恥ずかしそうに潤んでいた。
 正直堪らない。
 男の欲望を浮かばせる冬乃の表情は夏陽の雄へズクンと直撃する。

「なにその超エッチな誘い文句……発情期で口まで淫らになってんの?」

 夏陽は冬乃の背中から臀部へ両手を滑らせ、フサフサと揺れる狼尻尾を鷲掴む。

「アッンン」

 冬乃の背筋がビクンと震える。
 ウルフ族の尻尾は敏感な部位の一つ。所謂性感帯だ。

「体勢変えるぞ、冬乃」

 言いながら半身を起こす夏陽。冬乃も抵抗せず、主導権を素直に明け渡す。

「あ、眼鏡外さないと。汚れる!」

 しかし冬乃は夏陽が唇を寄せた瞬間、重大事項に気付く。
 まさかの眼鏡ストップだ。

「置場所は……あ〜、雑草の中だと無くしそうだな」

 外した眼鏡をケースへ仕舞い、夏陽の下からズリズリ這い出す冬乃。

「いいよ。オレの上着、下敷きに使いな」

 夏陽はパーカーとタンクトップをサッサッと脱ぎ去り、二着纏めて簡単に畳む。そして冬乃の手元へ置いた。

「え、いいよ。自分の敷くから、夏陽は着てなって」
「いやどうせ、暫くは脱いでるもんだし……さ」

 言った瞬間、羞恥で一杯になる夏陽。

「あ……ん、じゃ。借りるな」

 冬乃の頬も真っ赤に染まる。
 眼鏡ケースを上着で包み、頭一つ分離れた場所へ置く指先も。
 まるで冬乃の全身に赤い花が咲いたようだと、夏陽は恋に溺れた頭で思う。

「冬乃」

 本能的に後を追いかけ、冬乃の肩を無造作に掴む夏陽。
 そのまま首筋に沿って唇を落とし、リップ音をチュッと響かせる。
 健康的な肌色は何処まで赤く染まっているのだろうか。
 好奇心と欲望が、夏陽の右手を冬乃のTシャツへと忍び込ませる。

「脱ぐの、手伝ってやろうか?」

 冬乃の腹を厭らしく撫でながら問う。

「ア、夏陽……ンン」
「なぁ、オレが脱がせていい? それとも自分で脱ぐか」

 言いつつも夏陽の掌は上へ登って行く。
 平坦な胸板に到着すると、柔らかな粒を指の腹でクニクニと押し潰す。
 一度離し、ピンと立ち上がった粒を今度は人差し指と中指で挟み込む。

「ン、や……脱がせる気ないだろ」

 力の抜けた肘で夏陽の脇腹を小突く冬乃。
 全然痛くない。

「んな事ねーよ。冬乃の恥ずかしい場所は生で隅々まで見てーし、な」

 夏陽は声を低く落とし、冬乃の劣情を刺激するように囁く。

「さっきまで余裕なかったくせに」

 不満そうに振り向く冬乃。
 ピクピクと小刻みに震える狼耳が何とも可愛らしい。

「コッチだって、夏陽の方が盛り上がってる」

 冬乃の掌が油断していた夏陽の下腹部に滑り込む。

「ひぅ……冬、ン」

 盛り上がりを布越しに撫でられ、甘い吐息が鼻腔を抜ける。
 右手も力なく滑り落ちた。

「苦しいだろ。先に出してやるよ」

 冬乃の口角が三日月を描く。
 男らしい言葉と共にジッパーを下ろし、熱く猛った夏陽の芯をジーンスから取り出す。

「待て……うわっ」

 制止の言葉も聞かず、冬乃は夏陽のソレを上下に扱いた。
 ヌチャヌチャと厭らしい水音が茂みに響く。

「勝手にビクビク動いて、ココだけ違う動物みたいだな」

 冬乃が夏陽の芯を観察するように覗き込む。
 同じモノを持っているくせに、と夏陽は涎を滴ながら思う。

「アッアッ……冬乃も、う」
「腰、揺れてるぞ。……案外逆の方がハマるんじゃないか、夏陽?」

 そう言うと冬乃は芯の先端を親指でグリグリ弄る。

「冬乃の手付きが……ンァ……エロっちいからだろ」

 男同士であっても夏陽と冬乃の慰め方は違う。
 異なるリズムとタイミング。それは冬乃の愉しみ方だ。

「毎晩こんなにエロく自分の事弄ってんのかよ」

 知らなかったなー、と。夏陽は冬乃の羞恥心をわざとらしく煽る。

「っ……夏陽が敏感なだけじゃねーの?」

 冬乃の視線が恥ずかしそうに泳ぐ。
 けれど掌の速度は更に増し、夏陽の敏感な芯を容赦なく追い込む。
 何とも乱暴で、卑猥な照れ隠しだ。

「ンッアア!」

 熱い塊が躰の奥底から競り上がってくる。
 全身がビクビクと震え、目の前が白む。
 ドピュッドピュッと、夏陽の欲望は勢いよく飛び出した。

「ハァ、ハァ、冬乃……っ」

 息が弾む。
 白濁に濡れる下腹部は自分のモノでも卑猥に映る。

「お返しは、徹底的にヤるからな」

 夏陽は息を整え、ニヤリと笑む。
 流石は発情期というもので、夏陽の芯はすぐに活力を取り戻した。




「あっあっ、夏陽ぃ……ンアア」

 冬乃の内股が快楽に震える。
 邪魔な洋服はすべて脱ぎ去り、厭らしく濡れる秘部も夏陽の眼前に曝されていた。

「ココも、可愛がってやらなきゃな」

 夏陽は四つん這いの背中へ覆い被さり、冬乃の狼耳をハミハミ甘噛む。
 冬乃が仕掛けた性的なグルーミングのお返しだ。

「ろーよ? オレの舌テクは」

 夏陽の声がモゴモゴ篭る。

「くっ……銜えながら喋るな、よ」
「なに、舐めるよりも感じる?」

 質問の為に口を離す夏陽。

「アッ」

 ピクン。
 冬乃の狼耳がタイミングよく折れる。夏陽はその反応を『正解』だと解釈した。

「違う。擽ったいだけ」
「冬乃の嘘つき」

 ニヤニヤしながら口を開く夏陽。冬乃の狼耳を再び食む。
 しかも同時に、自由な掌を下へと伸ばす。

「ひゃあん」

 冬乃が甲高い悲鳴を上げ、肩から崩れ落ちる。
 力が完全に抜けていた。

「ほら、感じまくってんじゃん。コッチもヌルヌルだし」

 地面に突っ伏す冬乃の腰を引き寄せ、躰をへの字に曲げる夏陽。
 太腿を割り開けば、先蜜に濡れる芯も二つの柔かな果実も見放題だ。

「両方は、ハァハァ……ズルいだろ」

 ふにゃふにゃ状態の冬乃が首を捻り、夏陽を睨み上げる。
 迫力など微塵も無いが。

「いーや。もっと色んなトコロ、気持ちよくしてヤるよ」

 もう反撃される心配のない夏陽は調子に乗った。

「同時に、な」

 冬乃の肩を掴み、コロンと引っくり返す。
 大粒の汗が健康的な素肌に浮かび、首筋から胸板まで滑り落ちる様子が陽光に照らされた。
 キラキラと。
 キラキラと。
 天空の光を反射する。

「アッアッ……なつ、ひぃ……ンン」

 誘われるように唇を寄せ、可愛い粒事玉汗を啜る。
 しょっぱい。
 頭の芯がクラクラする。

「冬乃もそろそろ出したいだろ?」

 唇は離さず、掌全体で冬乃の芯を包み込む。
 上下に擦り、欲望を煽る。
 グチュグチュ。くちゅくちゅクチュッ。
 卑猥な水音が梢に響く。
 ピンと立ち上がる粒も口内に含み、チュパチュパッと赤子のように吸った。

「あああゃん……なつ、なつひぃ……あああン」

 快感が押し寄せる度に冬乃は鳴いて、夏陽に縋り付く。

「うわっ……オレのも擦れ、て」

 夏陽の芯が密着する事で、二人の腹に挿まれた。

「ちょ、たんま」
「ダメ。夏陽も出せよ。後2〜3回くらい余裕で勃つだろ?」

 冬乃の指がソコに伸び、夏陽の欲望も高める。
 結果、欲望を放ったのは二人同時だった。
 発情期の季節は未だ未だ続く。




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あきゅろす。
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