お題・質問
掠れた声(BLEACH・京七)
 情熱を受け入れてもらえると、嬉しいものだ。


 昔から、自分と女性との温度差が随分激しく違うと思っていた。

 花街の女性には受けは善かったけど、それは普段彼女達が男を持ち上げてるから、逆になれて嬉しいと感じている程度だと解っている。
 普通の女性にはくどいらしい。


 七緒ちゃんもそうだと思ってた。
 真面目だしね。
 寧ろ、苦手なんだろうなって。
 口説いてみて、素っ気ないし、手痛い思いもしたんだけど、実は照れ隠しだったと解った。


「七緒ちゃん…可愛い…」
「んん…」


 どうも昔からあまり容姿とか誉められ慣れてないらしくて、恥ずかしいだけみたい。
 可愛いし、美人だし、優しいのにな。


 色好きなのは相手を探していたから。
「七緒ちゃん…、いい…?」
「…あ!…あっ!…ああっ」
 


 普段素っ気ない分、二人きりの時のこの一時がまた堪らなく可愛くて、つい、加減を忘れてしまう。


 生真面目な彼女に、部下でもある彼女を、独り占めにできる罪悪感と、優越感。

 そして満足感。


 一度欲したら離れなれない。
 それでも日は沈み、昇る。
 朝になり仕事が待っている。

 解っているんだけれど。


「…けほっ」
「七緒ちゃん、飴舐める?」
 誰の所為だと冷たい眼差しでボクを睨み付けながらも、こくりと頷く。
「はいっ、どうぞ」
 包装紙を剥がして、ころんと自分の口に飴玉を放りこみ、舌の上に乗せてみせた。
 
 七緒ちゃんは途端に真っ赤になって、さっきより凄味がました眼差しで、睨んでくる。

 怒った顔もやっぱり可愛い。


「いらないの?」
 ころころと口の中で飴玉を転がし見せ付けると、七緒ちゃんはボクの顔をがっしと掴んで引き寄せ、唇を重ねてきた。
 強引に唇を舌でこじ開け飴玉を奪おうと、可愛い舌がボクの口内を探る。
 七緒ちゃんからの深い口付けに堪らず腰を抱き寄せて、飴玉をそっと渡した。


「ん…離して下さい…」
 飴玉を含みながら掠れた声で訴える。


 嫌だけど渋々離れる。七緒ちゃんを怒らせて、抱かせてもらえなくなるのはもっと嫌だから。


「仕事をしましょう」
 掠れた声で少し辛そう。

 今日はサボらず側にいようかな?
 小さな声でも聞こえる位置に。






隊長独白調でvV
おっさんの心情…っていうとちと気味悪い(笑)



20070307

[前へ][次へ]

10/11ページ

[戻る]


あきゅろす。
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!