お題・質問
擦り寄る(ギン乱・甘・BLEACH)
「あんたね、いい加減にしなさいよ」
 豊かな胸の下で腕を組み、乱菊は目の前の男を睨み付けていた。
「いやや」
 ギンはぷいと横を向く。
 怒る乱菊には、例によって例の如く、艶やかな黒毛が美しい猫の耳と尻尾が生えていた。
 ギンはこの猫耳尻尾が大変お気に入りで、機会を伺って乱菊に一服薬を盛り、生やしては褥へと連れていく。
 この日はイヅルをも使い、乱菊の好きな蕎麦饅頭の中へ薬を仕込み、イヅルに持たせ差し入れに行かせた。更に徹底して全ての饅頭に入れた為、相伴に預かったイヅルに冬獅郎も猫耳尻尾が生え、タイミングよく遊びに顔を出した桃に捕まっている。
 さて、皆様にはお解りだろう。己の副官を足止めに使い、乱菊の上司も足止めに使ったのだ。桃を遊びに向かわせたのはギンである。こうして邪魔を排除し、乱菊をお持ち帰りしてきたのだ。


「ギン!」
「……いやや!にゃん菊はボクのお気に入りやもん!止めへん!」
 駄々を捏ねるギンに、乱菊は冷たい視線を向ける。
「あっそ。でも、あたしはウンザリなの。こういうの、喜んでくれる女でも、探したら?」
 乱菊はそう告げると、襖に手を掛ける。
「いややっ!乱菊だからええんやからっ」
 ギンは乱菊を抱き締め、逃がすまいとする。
「……乱菊…普段素っ気ないんやもん…猫になると…擦り寄ってくれるんやもん…」
「…はぁ?」
「気持ち良くすると、擦り寄ってくれんねん」
「…そ、そうだっけ…?」
「ん」
 きつく抱き締められた腕の中で、乱菊が見上げ、ギンがこくりと頷く。
「………」
 乱菊は考え込んでしまった。乱菊は実の所、甘える事が苦手だ。我儘は言うが、心を許し曝け出す甘え方が苦手で、ギン相手でもかまえてしまう。ギンも解っているのか、時折少し淋しそうな表情を見せるが、何も言わないでいた。

「……しょうがないわね……」
 乱菊は溜め息を吐き、薬を盛る行為を咎めない事にした。
「にゃん菊っ!」
 ギンが嬉しそうに頬を擦り寄せる。
「あんたが擦り寄ってどうすんのよ」
 乱菊が呆れて笑い声を上げた。



 そして……。
「だからって!しょっちゅう盛るにゃ〜!!」
「いた〜!!にゃん菊ヒドイで!!」
 ギンの頬にくっきりと四本の爪痕が。
 一週間消えなかったそうです…。


「あたたた…肉球は失敗や」





擦り寄るはギンにゃんで(笑)
やっぱ猫は外せない。
にゃにゃ緒ちゃんも考えたけど、ギンがにゃん菊気に入ってる理由を考えてみたですよw


20060524

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あきゅろす。
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