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 春水は口付けをしながら項へと手を這わせ、撫でながら髪留めを外す。
 するりと指通りのよい髪を梳きながら、ゆっくりと押し倒す。
 何度かついばむような口付けをしながら、襟元に手を掛ける。
「んぅ…」
 七緒がびくりと体を震わせた。
「…大丈夫だよ」
 春水が唇を離し耳元へと唇を寄せて囁く。
「ん…」
 くすぐったそうに肩を竦ませる七緒に、春水は微笑みかけて体を起こした。
 風呂に入り着替えてきたのだが、七緒はしっかりと着物を着こんでいた。
 どんな格好が良いのか判断しかねたのだろう。
「七緒ちゃん、ちょっと起きて?帯が苦しいでしょ」
「あ、はい…」
 春水が手を貸して起きあがらせると、春水は帯を解き着物を脱がせてしまった。
「きれいな着物が皺になっちゃうからね」
 春水が微笑みながら穏やかな声で説明をしてくれたので、七緒は素直に頷けた。
 脱がされた着物と帯を手渡された衣紋掛けに掛け、鴨居に掛ける。

 襦袢姿になって改めて横たわると、春水も襦袢姿になっていた。
「七緒ちゃん、おしゃれだねぇ。可愛い襦袢だ」
「…死覇装は代わり映えしないので…」
「そうだね、下着くらいおしゃれしたいもんね」
「はい…」
 襟や袖は見えるので白いが、表から見えない部分は流水文様の淡い水色の柄が入っている。
「流水は、流されたいから?」
「…そ、そういう訳じゃ…」
 襦袢の柄に迄目を留められて、七緒は狼狽えてしまう。何せ急な告白で急なお泊まりになったので、新しい襦袢を探した結果、見つかっただけなのだ。前もって解っていればもっと違う柄も考えられたのだが。
「ご免よ、そんなに狼狽えなくてもいいよ。わかってるからね」
 春水は頬に口付けをし、襦袢の襟元から手を忍ばせた。
「あっ」
 急な事に、七緒は更に狼狽えてしまう。
「大丈夫」
 春水の温かく大きな掌の中に、七緒の小さな膨らみが収められてしまう。
「まろやかで、吸いつくようだ」
 大きさでなく肌の感触の感想を口にした春水に、七緒は微笑を浮かべた。
 七緒が密かに胸の大きさを気にしている事を、知っているのだろうか。
 少しの間軽い口付けを繰り返しながら掌の中で転がされていたが、いつの間にか腰紐が解かれて襟元がはだけられていた。

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