「ああ。あ、そうだ。誕生日だったんだよな。これ」
「なーに、これ」
「俺達から。誕生日おめでとう」
 数日前に突如誕生日の買い物に付き合うよう連絡があったため、一護は織姫や雨竜、泰虎と相談し誕生日プレゼントを用意してもっていたのだ。
「ありがとう!!いっちー!」
「じゃあな」
「ああ」
 剣八は一言だけ残し、やちるは手を振って満面の笑顔を残して去って行った。

「…何時も、これくらいの用事ならいいんだけどな」
 死神なのだから有事以外で会うことはならないと解っていながらも、ついぼやいてしまうのだった。


 やちるは自室へと戻ってくると、さっそく一護からもらった贈り物を開けた。
「わあ、いっちーたちだ!ぷるるんに、モリリンにエンピツだー」
 そこには四人のぬいぐるみがあった。添えられたメッセージカードには雨竜作だとある。織姫も手伝ったようである。一護と泰虎は自分たちのぬいぐるみにアクセサリーをつけていて、これはやちるでも使える大きさだとあった。どうやらこの銀色に輝く飾りが二人の手作りのようである。
「こんど現世にいくときつけてみよっと」
 やちるははしゃぎながら机に飾り、直ぐにお菓子へと視線をうつした。

「あ、そうだ。これ剣ちゃんに!はい!ほんめーちょこ!」
「ああ…」
 やちるは自分が食べてしまわないようにと、忘れないうちに剣八に渡した。
 横になって肘枕でやちるの様子をみていた剣八だったが、起き上がり手渡された包みを持ち破いて開ける。
「なんだこりゃ」
「お酒入ってる、おとなのチョコなんだって」
 やちるは自分で開けた包みの中からチョコレートを取り出し口の中へと放りこむ。
「おいしーい!」
 今までに食べた事のない蕩けるような味わいにやちるの瞳が輝く。
「ふーん」
 剣八も一つ摘み口の中へと入れる。噛み砕くとほんのりと甘く香り度の強い酒が口の中へと広がる。
「こいつは悪くないな」
 気に入ってもらえたようで、やちるの瞳が輝く。
「こっちもおいしーよ」
「そりゃよかったな」


 こうして、死神代行までも巻き込んだやちるの誕生日は賑やかに終わったのでした。

おしまい

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あきゅろす。
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