「俺より、剣八じゃなくていいのかよ」
 冷汗を流しながらチョコレートを受取れずにいる。
「剣ちゃんにもあるよ。これはいっちーへ。剣ちゃんの友達だから好きだもん!」
「ああ、そういうことか…。じゃあ義理チョコだな。ありがとう」
 やちるの説明に一護はほっと安堵の溜息を吐きだしようやく差し出されたチョコレートを受取った。
「ぎりちょこ?」
「本当に好きな人じゃなくて、仲の良い人とか、家族とか、友達とか、お世話になってる人にあげるチョコ」
「あー、そうだね、ぎりチョコだね!うん」
 一護の説明にやちるは至極納得をし、大きく頷き満面の笑顔になる。剣八もその説明に納得したようだ。少しばかり圧迫感が消えたように感じた。

「本当に好きな人にはなんていうチョコなの?」
「本命チョコだな」
「本命かー」
「剣八なんだろ?」
「もっちろん!」
 打てば響くように返ってくる答えに、微笑ましい気分になる。
 そんな会話をしているうちにようやくケーキは箱に納められ大きな紙袋が数個手渡された。
「わーい、いっぱいだ」

 そこへ人の目には見えない黒い蝶が飛んでくる。
【更木隊長、お時間です】
「ああ、やちる、時間だ」
「はーい!」
 たくさんの紙袋に満足したやちるはあっさりと頷いた。

 人気のない場所へくると、既に其処には既に門が開けられていた。
「いっちー今日はありがとね」


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