◇BLEACH if…
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十四郎の病は伝染のものでも、遺伝のものでもないのだが、生まれたばかりの子供はとても弱い。何が起こるか解らないのだ。そんな時に、十四郎の病が酷いと移るかもしれない。移らないにしても、面会謝絶になり生まれて父親と対面も出来ないのも、不憫すぎる。何としても、子供が生まれる頃、十四郎には元気でいてもらわねば困るのだ。
「あなたも、無茶はしないで、じっくりと身体を整えてくださいね」
「ああ、勿論だ。子供の顔が見たいし、お風呂もいれてやりたいし、オシメも替えてやりたい。上手いんだぞ、弟妹の面倒をみてたからな」
「まあ、それは頼もしい」
嬉しそうな十四郎に、烈は微笑んだ。
それから十月後――。
「落ち着け」
「落ち着けんっ!」
「…一杯やるか?」
「いらんっ」
うろうろと分娩室の前でうろつく十四郎に、春水は呆れた視線を寄越す。
「お前さんがうろついた所で、烈ちゃんがどうこうなるわけじゃないぞ」
「お前に言われたくないっ!お前こそ、最初の子供の時は酷かったじゃないか」
「あ、それを蒸し返すのか。そんじゃ、俺は帰ろうかな…」
「待てっ!いてくれっ!」
椅子から立ちあがり帰ろうとする春水の袖を、掴み引き止める。
「お前ねぇ…」
「一人じゃ不安なんだよっ」
そうなのだ、一人で待つことができないと、春水に同席を頼んだ十四郎だった。四児の父の春水は出産の立会いになれているし、気安い間柄であるからだ。
男二人、ぎゃあぎゃあと廊下で騒いでいた時だった。
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