◇BLEACH if…
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「剣ちゃん、はい、あ〜ん」
 やちるが箸で卵焼きを掴んで差し出す。
「あー…」
 剣八は書類を片手に見ながら、促されるままに口を開ける。
「美味しい?」
「ああ…美味い…」
「嬉しい!!」
 この日二人は遅めの出勤であった為、やちるがおにぎりと卵焼きを手早く作り、白菜の漬物を添えて、執務室へと持ち込み、朝食を取りながら机に向っていたのだった。


 時折見られる光景ではあったが、この日は何処か違った。
 その証拠に、このタイミングに十一番隊を訪れた十番隊隊長の冬獅郎と、彼を案内してきた十一番隊の三席の一角は、目を見開き口を大きく開け、言葉なく呆然と見詰める羽目になってしまった。
「あれ!つるりんに、ひっつー!どうしたの?」
「…どうって…」
「書類を…持って来たんだが…」
 やちるは満面の笑顔で二人を迎え入れ、冬獅郎と一角はまだ頭が働かないらしく、言葉少なに用件を述べる。一角など、気に食わないアダ名で呼ばれたという事にすら、気が付いていない。
「あ、書類?ひっつーがわざわざ持って来たの?ありがとー!はい、剣ちゃん」
 やちるは冬獅郎から書類を受け取り、剣八へと手渡す。
「おう…」
 ちょっとした会話でも剣八とやちるの間に漂う空気が違う。
 一角は、ふと剣八とやちるがくっついたばかりに頃を思い出した。
「…隊長…副隊長…何かいいことでもありましたか?」
 恐る恐る一角が問えば、やちるはよくぞ聞いてくれたと、頬が薔薇色に染まり満面の笑みになり、大きく頷いた。
「ウフフフフフ、解る?解っちゃう?聞きたい?」
「あ、いや、その…」
「あ?ああ…」
 やちるの迫力に一角がたじろぎ、冬獅郎も気圧される。
「やーん、もう聞いてよっ!あたし昨日、剣ちゃんの奥さんになったのよー!!今日から更木やちるよ!!」
 やちるは両手を両頬に当て、嬉しそうに身体をくねらせる。

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あきゅろす。
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