銀色の空に
5
「動かして大丈夫なのかよ?」
『駄目だよ』
「阿呆かてめぇは、暢気に動かしてんじゃねーよ馬鹿」
相変わらず口は悪いが、これは黒崎なりの心配。
その遠回しな優しさについ笑みが溢れた。
『黒崎のお嫁に行けたらなぁ…』
「ちょっと陸くん、君の隣の方…凄い形相なんだけど」
『蒼夜の嫁なんて、毎晩激しそうだなー』
あはは、と譫言(ウワゴト)の様に呟くと、蒼夜の温もりを感じる。
「激しいのを希望か?」
『やだよ、優しくして?』
「………努力する」
『そこ真剣に悩むなよ』
そして二人分の視線を感じ、何かと思えば何かの言葉を待っているようだ。
嫁、嫁、俺、と口パクで言われ、成る程と二人の方を向き直す。
『冦吏の嫁さんになったらなー…、外出禁止とか言われそう・・』
「それは言わないだろ」
『……俺が襲われたり、ナンパされたり、知らない男の人に着いていったりしたら?』
「外に出るな」
『やっぱりぃっ!』
指を差して笑うと、冦吏もはっと気付いたようで苦笑し始めた。
楓は、次は俺だと言わんばかりに俺を見詰めてくる。
『楓はアレだよね、襲ってきそう。我慢出来なくて』
「そんな事『無いと言いきれますか』
言い切れません…。」
そんな自信無さげな楓を鼻で笑い、未だに俺を抱き締めて離さない蒼夜をまたひっぺがす。
が
『ひぁ…ん』
「「「!?」」」
「相変わらず首、弱いな」
首筋をいつも以上にいやらしく舐められ、急な事に対応出来ずに声が出てしまう。
「するか…?此処で」
珍しく悪戯に言う蒼夜に、自分も一蹴りしてやろうと良い案を思い付いた。
野郎共、悶え死ね。
『…そ、ゃ・・・病院って、ちょっと…えっちだよね・・?』
「陸・・?」
『シた、い・・な』
蒼夜の胸元をキュッと握り、上目遣いで擦り寄る。
効果はあるのか?
あぁ、抜群だ。
「……っ」
『皆でトイレ行けば?』
俺を気にせず、早足でトイレの方向へ向かう四人だった。
ちゃんちゃん
違うか。
とぅびとぅびこんてぬー。
[*前へ]
[戻る]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!