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銀色の空に
進歩



もう一回


しつこいバカ


  act.6 進歩




首をべろべろ舐める(表現が汚い)蒼夜に仕方なく頬にキスした俺だが



こやつ………



「もう一回」




と言って俺を離さない。

よせ、来んな、俺の首に触れないでくれ




『わ、かった!分かった!!』




「なら早く」




『けど、蒼夜は何かしてくれんの?』




今考えれば、我ながら危険な発言をしたものだ。

言って後悔する俺はどれだけ馬鹿なんだろう…




「・・・快楽?」




『ほんと要りません』




「…じゃあ…、何が欲しい?」




別に襲われるとかそんなんじゃなくて、それは意外にもまともな回答。


欲しいものなんて…無いな。





『あ、じゃあ一つ』




「ん」




欲しいものとか、そんなじゃないけど。


俺の唯一の願い





『俺より先に死なないで』




ただ、これだけで良い。


これだけで充分だ。




「・・・・お前、ほんと可愛い」




『だから何でだよ』




「俺は死なない。不死身だ」




『全然感動しないんだけど』




と言っているが、ちょっと面白かったりする。

それから軽く起き上がると、同じように蒼夜も起き上がる。




「陸」




そう呼ばれて振り向くと、きゅっと抱き締められた。

一瞬状況が理解出来なくて固まっていると、クスリと笑い声が聞こえる。




『朝からお前は・・・』




「やっぱ暖かい」



『…えいっ』




お返しだ、と言わんばかりに蒼夜の首元を噛む。

反応が無いのでぺろっと舐めると、蒼夜の手が震え始めた。





『あ、蒼夜も首弱い?』




「………っ可愛い」




おいおいお前頭は正常か?

震えながら言う事じゃない・・って言うか喜ぶなよ馬鹿野郎。




「もっと」




『離しやがれのっぽライオン』



「離さない」




『あ、今のちょっとドキッとした』





そんな冗談を言っても一向に離れる気配は無いこいつ。

意外にしつこい奴だな




「離れたく、ないな…」




『・・・蒼夜?』




最後に聞こえた、小さく、少し嬉しそうな声は・・


何だか、幸せそうだった。





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あきゅろす。
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