銀色の空に
4
□
「陸、とか言ったね」
「陸は関係無い」
話し合おうと言われて来てみれば陸の話で、意味が分からなかった。
変わったのは、あの張り付けた笑みが無い事だけ。
「教えられたよ」
「・・・?」
何の話しかが分からなくて、首を傾げた。
「愛情、苦痛、孤独や悩み、全部言い当てられたよ。」
「陸、が?」
あの時、逃げたんじゃなくて、こいつと話をつけに行ってくれてた?
「感情を表すだけで伝わる、無理にしなくても、伝えれば良い…そうなのか?」
兄さんのこんな表情を見たのは初めてだ。
「すまなかった…」
嘘だろ?とか、そんな言葉がぴったりだろう。
こいつが謝るなんて…けど、
「・・・・・お、れは」
俺は、兄さんを恨んでない。
「ただ、怖かった…恐かった。恨んでない。」
「・・・・恨んでない?」
「恨んでない、兄さんの言葉や、行動やあの作った笑顔が恐かったんだ。」
逃げてばかりで立ち向かおうともしなかった。
「そう、か・・、もう、これからは気を付ける」
「………」
陸は、こんな簡単に俺を救ってくれた?
「お帰り、楓」
その笑顔に、自然と涙が溢れる。
「ただ、ま・・ッにいさ…っ」
優しい兄さんが、戻って来た。
やっぱり俺の選んだ奴だよ
陸くん・・・・・。
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