銀色の空に
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□
──ガンッ!!
『ふざけんな!!』
「愛情を注ぎ込んで何が悪い?」
『愛情、だ?一方的にやるそれが愛情なのかよっ!!相手が、楓が苦しむのが愛情か?!!あ゙!?』
いっつも笑ってると思ってた楓が、こんなにも苦しい思いをしてて、気付いてやれなかった自分にも腹が立って。
「楓だって最中はよく鳴いてるよ、フフッ」
『…泣いてんだよッ!!詰め込んで、詰め込みすぎて、自分追い込んで・・・俺も、何で気付かねんだよ…っ』
一人で熱くなってどうすんだよ。
確かに震えて、泣いてたあの声。
掴んでいたそいつの襟首は、皺だらけになっている。
『あんたさぁ』
その場に気力無しに胡座をかき、そいつを見上げた。
『心から笑った事ある?』
一瞬だけ崩した表情からは、悲痛が読み取れた。
孤独と、逸れた愛情。
『何を隠す必要があるの?孤立する理由は何?その責任感は?』
『俺なんてさ、きついの自分だけじゃないって、へらへら笑って、皆笑わせて』
その一瞬だけでも安らかになれるならって。
『化け狐なんてさぁ、好きに呼んでいんだよ。そんだけきっかけあるって事だろ?』
「・・・・私は」
『愛情の表現方法なんて沢山あるけどね、ただ素直に褒めたり、撫でたり、素直に受け止めてやったり、そんな簡単な事でいんだよ』
気付けなかった俺も、今はわかるよ。
『あんただって、苦しいだろ?』
「……ッ」
『責任感とか、そんなんで重み感じて、愛情が分かんなくなった?』
笑顔さえ、作れなくなった?
「お前には何もっ」
『笑えよ』
──練習から始めようぜ。
『優しく、お帰りとか、いってらっしゃいとか、素直な気持ちぶちまけたら良いんだよ。』
「・・・・何でこの短時間で俺の気持ちが分かる?」
──時間じゃねぇ、心だ。
『時間なんて要らない。心の問題。』
「…っ……こんなガキに・・」
『ガキだから分かるんだ。ま、良く考えなよ』
考えて駄目だったら
俺がぶっ飛ばしてやる。
──ガラッ
『まず、笑う事!・・じゃあな』
って笑えるかっつーの。
馬鹿か俺は
去り際に聞こえた微かな笑い声は、空耳じゃ無いと信じたいけど。
___
PRRRR─…
ビクッ
「・・・・も、しもし」
「…楓…話し合おう・・」
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