銀色の空に
3
「ご両親心配してないの?」
『へ・・・・・?』
──両親とか、心配してんだろ
ここ最近、慎を思い出す事が増えた。
墓参りさぼったからかなー
『九時までに帰れば大丈夫・・あ』
──七時までだからな!!
兄貴に電話しないとうるさいよなー
『ちょっと、兄貴に電話してきます。』
「うん」
携帯を取り出し、電話帳で春樹の文字を探す。
春樹、を押しコールが三回鳴った所でそれは止んだ。
『あー、春樹?あのさ、今日……はぁ?や、男の家だけど友達の家だし・・・・何もされてないって。馬鹿かお前は』
「何か、束縛の激しい彼氏みたいだね。」
「あぁ、まるでお前だな」
向こうは向こうでボソボソと何か話してるみたい。
『んーだから今日は九時までに帰るから。・・・・あれは強姦紛いだろ〜?あん時は助けて貰ったし』
「えっ、大丈夫なのあれ」
「多分…」
やっぱ驚くよね、俺変なの(主に変態)にモテるんだもん。
『二回目はしっかり半殺しにしただろー?三回目だって逆に襲い返したもん。……ばっ、ピーーなんかしてねぇよ!!あんなもん舐めるか!!!普通に犯すぞって言っただけだって』
「ピーーだって」
「ピーー・・・」
兄貴は下ネタ連発するし、フェロモンむんむんとか言い出すし。
『フェロモン?んなもん出してない。……あーもう良い!!俺にはこうちゃんで充分だっつの!!!』
「こうちゃん?彼氏?」
「あ゙?」
こうちゃんこうちゃん♪
ゆっきーなのだ
『そう、俺の愛するこうちゃん。今日も会って抱きしめて来た。ついでに愛の証付けられた。……うん、ちょーうかっこいい。』
「どんまい蒼夜」
「・・・もしかして幼馴染みの事か…?」
『あっはは、探したら殺すから。じゃねー』
プツッ
『今日九時まで良いって。何なら泊まりもオッケーよ』
うん、嘘だけども
「こうちゃんて、誰?」
お兄さん何でそんな顔強張ってんの。
『幼馴染み、因みに恋人でもなんでも無いですから。兄を黙らせる為に、ね』
苦笑してお兄さんを見れば、納得の行った顔。
「あっ!俺、桃至ね〜」
『とうし?』
「果物の桃に至るの文字!」
『桃至、じゃあ…ももちゃん?』
クスクス笑っていると、不意に蒼夜と目が合った。
「桃ちゃん、良いねそれ」
「早く帰れよ」
『蒼夜、』
機嫌の悪そうな蒼夜の隣にちょこんと座ってみた。
『笑顔の練習!はい!』
指を立て1+1は〜?と馬鹿らしい質問をしながら自分も笑顔を作る。
『にーっ、てするとこ!』
「……っぷ、くく」
口を隠しているけど分かる。
蒼夜が微妙に声を出して、眉間に皺を寄せたまま笑ってる。
「蒼夜が笑ってる・・」
『可愛い奴めっ』
うらうら〜、と頬っぺをつつく。
「あほか」
そんな事を言いながらも頭を優しく撫でてくれる蒼夜は、ほんとに大好きだ。
可愛いし
「蒼夜、今日はもう帰るな。蒼夜の笑ってるとこ見たのいつぶりだろ…」
「気を付けろよ。」
『毎日、笑わせてやるよ』
そこで桃ちゃんとはバイバイして、また二人きりになった。
お兄さんは、凄く弟思いだな〜ってちょっと感動した自分がいる。
毎日、毎日毎日笑っていたい。
ずっとずっと、ずーっと。
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