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銀色の空に
2




考えたくは無いが、嫌な汗が背中を伝った。


慌てて掴まれている腕を振りほどき、トイレ方向に行って扉を開けたが(おい)蒼夜は居ない。




何となく風呂場を覗いてみた。


ザーー

シャワーの音が聞こえる。

自殺とかじゃ無いよなッ




バンッ!!




『うぉわっ!!?』



「・・・陸・・ッ!?」




開ければ真っ裸で後ろ姿の蒼夜くん。

下は見てない、私は見てないぞ。




「………な、何を」



『ごめっ!!』




扉を閉めてバタバタとリビングへ戻り、ソファにダイブした。


ふと目に入った、反対側のソファに座るそいつ。





『トイレ行ったと思ったら風呂場居たんで…あぁ、たくましい後ろ姿を見てしまった・・・』




「……お風呂、か」



『俺邪魔ですよねー。どうしよ、帰ろっかな』




そして不意に気付いた。

座っている男性がやたら美形だと言う事に。

類は友を呼ぶ。正にそれ。

綺麗な赤茶の頭髪、蒼夜の真似でもしてるのかな。





『似てますよね』




「え?」



『蒼夜に』




へらっ、と笑いながら話し掛ければ不意を打たれたかの様に間の抜けた声を出した。





『蒼夜って、何かと自分の事話さないし、恋人とか一言も聞いた事無かったんですよ』




「・・・・・」




『けど何かと優しくて、俺同性愛とかどうも無いし、いい人捕まえましたね』





柔らかく微笑めば、その人は凄く驚いた顔をした。





「や、さしい?」




『はい。軽く天然で馬鹿っぽいけど、何か・・・ん〜、俺の元恋人に似てる』




慎に、似てる。

少し俯きながら、思い出す様に言い、それを慌てて訂正していれば、ようやく蒼夜が戻ってきた。






『遅いっつの!何のんきに風呂入ってんの〜?恋人さん待ってるよ?』





「………恋人?・・ってまたあいつッ」




蒼夜が足早にソファーを覗き、その恋人とやらを見て何か言って頭を殴った。

あ、あれが愛情なのか?





「また不法侵入かと思って」




「いっつもいっつも恋人って、だから変な噂が立つんだろ!!」




喧嘩か?喧嘩なのか?




「あいつは違うっ」



「へぇ〜…可愛い子」



「見んな!!」




喧嘩、と言うかなぜそんなにニタニタして俺を見てるんだよ。




「っあ、陸」



『ふぇ・・ッ?あ、何?』




二人の会話に没頭していたら、いきなり蒼夜に呼ばれるもんで馬鹿みたいな声を出してしまった。


のろのろと蒼夜の隣に立って蒼夜を見上げる。

でかくてむかつく。





「これ、俺の・・」



「お兄さんで〜す」




何かさっきと全然雰囲気・・




『お兄さん?!』




「ごめんね、不法侵入かと思って恋人って言ったら違ったみたいで…、訂正するタイミング失っちゃった」



てへっ、なんて効果音がつきそうだ。

兄貴と滅茶苦茶被る気がする。





「悪い・・」




『だから似てたんだ。へぇ、やっぱりかっこいいんだね』




「うわーっ、俺かっこいい?」



うんうん、と微笑みながら冗談交じりに頷く。





『あっ、蒼夜!風呂入るなら入るって言えよ!!心配したあげくに…』



もうお嫁に行けない…

しくしくと泣き真似をして蒼夜をチラ見。





「見えたか?」


何がだ




『蒼夜ゴツゴツしいよね』



「見たのか…」



『そっちの話じゃねぇよ』




軽く睨みあげるが最早それは上目遣いと化していた。





「へぇ、蒼夜と対等に話せる人間がいたんだ」




『え、蒼夜意外にフレンドリーですよ?』



「嘘っ?!!蒼夜が!?」





そんな驚く事なの?

てゆか、そんな爆笑する事…?





『最初は無愛想でですね、けど俺から積極的に話し掛けてたらいつの間にかこう、まぁ仲良さげに。』




「あり得ないあり得ない」



「どういう意味だオラ」





その後は問題なく皆で会話して、気付いたら日が暮れていた。




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