[携帯モード] [URL送信]

銀色の空に
5




案外呆気なくバレた俺の正体。


本当に間抜けだな






『あれ?……これって屋上で初めて会った時の逆バージョン?』



ぽんっと思い出したあの頃。




「そうだな。」


『な、懐かしい〜、とか・・・』


「このキスマーク何だよ」



この時、俺は寇吏を恨んだ。

っつか…何かもう、自分の行動に反省しなきゃいけないと考えた。






『クラスの……幼馴染みに遊びでやられた』



「………じゃあ俺も遊びで付けていいか?」



『はぁ?・・・・ちょ、まっ』




二回もコレをやられるなんて思わなかったぜ

首はまっじで駄目なのに・・・




『っ……、ひぁ』



「!……、弱いのか?」



『そーゆー事聞くなッ』





かあっ、と熱くなる顔を腕で隠すと、蒼夜の小さな笑い声が聞こえる。




『笑うな・・、出したくて出たんじゃねーの』



「良い声出すじゃねーか」


『変態かお前は』




顔から腕を退けると、予想以上に顔が近かった。


近い、近すぎて何か…





『蒼夜、近い・・』




更に赤くなる顔を背け、蒼夜の胸元を抑える。

鼓動の音が聞こえた。
脈打つ振動は、少し、早い。





「はぁ、襲いて」



ボソッと呟いたそれは、陸まで届かない。





『何か、この勢いでキスとか出来そうだねー』





クスクスと笑って茶化してみれば、更に動悸が早くなった。




「っ、それまじ反則」



『ん?』




頭の横に支えとなる蒼夜の片腕は、蒼夜の顔を隠すものとなり、陸の腕は未だに蒼夜の胸元に。





「女って聞いて抑え利かなくなるかも」



『女じゃないもん、男だもん。去勢して豊胸した男の子だもん。』




へんっ、と少し不機嫌な顔で視線を反らせば、おかしそうに笑う蒼夜が見えた。




『笑ってんじゃねーよバカ』



「変な冗談言うからだろーが」



『・・・どけよイケメン』



「うるせー仔狐」




端から見ればジャレ合いだが、陸にとっては真剣な戦いなのだ。





『仔狐ゆーなライオン』



「百獣の王舐めんなよ」



『はっ、銀色の狐なんて早々いねーぞ』



「襲うぞ」



『なんでやねん』




ボケかましまくりの会話はまだ続く。





「気の強い狐だな」



『襲いたがりのライオンですね。食べないでね、美味しくないから』


「喰ってみなきゃ分かんねーよ」



『いや…、喰うじゃなくて食うだろ?』



「喰うんだよ」




にたりと笑う蒼夜の顔はなんとも不適。

そこらの女ならイチコロだぜ。





『ぇ・・あ、やっ、やだ…』



「何でだよ」



わざとらしく、ちょっとやらしめな声で断れば、不満そうに蒼夜の眉間の皺が濃くなった。




『そんなおっきぃの入んないよ・・、』



ずきゅーんっ

と言う音が何処からか聞こえたのはまぁ空耳だろうな、あぁ。




「トイレ」


そう言って俺の上からどいた蒼夜は、ずかずかとトイレの方へ向かって行った。







数十分経っても戻って来ないあいつ。




『おっそーい、腹でも下したか〜?』




少し大きめな声でトイレに向かって叫ぶ。


蒼夜がトイレに行ってもう十分くらい?


カーテンを開けて景色を眺めていた。





『うわ、此処住みてぇ…』




こんな景色を毎日拝めれるなんて、なんて贅沢なんだ。

その時、後ろから足音が聞こえた。





『蒼夜、お前おっそ・・い?』



「あんた…誰」


『………えぁ』


そこには見知らぬ、若い男性が立っていた。




  To be continued..

[*前へ]

5/5ページ

[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!