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無双の短編
夢 【伊達政宗】

記憶の片隅にある母上の姿は、
いつもいつも弟ばかり可愛がる。
母上の傍に寄れば、
酷い言葉を浴びせられた。

幼くして右目を失うと、
それはさらに激しくなって、
話しかけることすら儘ならなかった。






「なんと、醜い子…」







少ない母上の記憶の中で、
この言葉が最後だった。
それからはもう、
顔を見ることすら許されなかった。



母上なんていない。いなかった。

ただの女は、この屋敷に要らない。






だから
殺した。















最後に見た姿は
不様にやせ細り、
綺麗だった髪も艶を失くし、
疲れきった顔の、
醜い女だった。



最後まで弟の名を呼び
最期まで酷い言葉を吐き続けた。



幻滅した。

こんな者から生まれてきたのだと思うと
吐き気がした。






― 十年前の出来事は、今でも鮮明に思い出せた ―





それでも、


記憶に強く残るのは、
弟と共に笑う、
綺麗な母上の姿。











本当はただ、

…笑いかけてほしかった

…話がしたかった

…一緒に遊んでほしかった

…心配してほしかった



「醜い子」
ではなく
「可哀想に…」
と、泣いてほしかった。



ただ、それだけだった。




あとがき

歴史上調べてみても
悲惨な生い立ちの伊達政宗。
だからきっと、あんなに
ひねくれちゃったんですね(笑)
実際に政宗は、
かなり残虐だったそうな。
女子供も容赦なく手にかけたことも…。
お母さん!!子供の教育間違ってますよ!!!
って感じです。



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